◇SS部屋◇

□天然SとドS疑惑の男
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これはあれですか。

隙あらば私のデコに針を刺して誘拐しようとする猫目キューティクルの策略ですか。

それとも一日一殺をポリシーに掲げている早く隠居しろジジイのボケ始まりですか。

確かに、確かにですよ?
仕事の都合上偶然ばったり会ったりしてしまったことはございましたよ?

でもですね、その度、私の仕掛けた罠に引っかかって自爆しているのはそちらの責任というか、自業自得というか。

だからですね、私の言いたいことは、あなたバカですか、と。


「…おい」


でもそんなこと面と向かって言っちゃったら、殺されちゃうと思うしー。

今回は個人的に手に入れたいものだからなぁ、仕事なら即放棄なんだけど。
なんとかうまくいく方法ないかな。

それにしても良いデコしてるな。
ぺちんって叩いてみたいよなぁ。
きっと良い音すると思うんだよね。ぺち、って。


「おい」

「なんですか」

「全部声に出てる」

「あら、それはスミマセン。つい癖で(わざと)。それでデコ叩かせてくれませんか」

「断る」

「ケチですねクモの団長さんは。ならここを通らせてくれませんか」

「俺が誰か知っていてそれを言うのか」

「だからわざわざお願いしているのですよ」

「無駄なことだな」


凡人では見えない速度でナイフが飛んでくる。


「っと。危ないじゃないですか。レディに対して無礼者ですね。しかもこれ刃にマフィリト毒塗ってあるじゃないですか。拷問好きなんですか」


危なげなく柄を握って止めたナイフを眺める。

無色で匂いもあまりないマフィリト毒は、一般的に出回っている薬草から取れるモノだが、抽出方法が複雑で現存する量が極少。
裏では高額で取引される代物だ。

効能は身体に入れば数十秒で四肢の自由が利かなくなって、地面にキスしちゃうか後頭部強打が待っている。

拷問に愛用されるというのは自白作用があるということと、痛覚があるというところ。

ドSさんにはもってこいな毒なんですよ。


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