12/25の日記

22:45
白とは違う白銀の
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"待ち合わせは夕方六時に"
それが仕事を同じにする二人の暗黙の了解で――


私は今、バタバタと騒音を撒き散らしながら待ち合わせ場所へ急いでいた。もちろん慌てている頭に『瞬歩を使う』という考えはまるで皆無だ。
年の瀬ともなる師走の下旬でも一種の管理職のような仕事についている私達には、毎日アルプス山脈のように連なる書類の束に囲まれて(時々あまりの量に泣き出す後輩を宥めながら)、宛てる先の無い恨み言を吐きながら、それでもミスの無いように丁寧に書類を仕上げる…から、見事に定時でなんて帰れない。
こんなときだけは虚のばかやろーと満天の星空の下叫んでやりたい。

「今日なんか『おはようございます』しか話せてないんだぞーこのやろぉ」

ちっさいくせに優秀な隊長殿は今日だけ定時で帰ったらしい。
副隊長が喜々として隊長の仕事を請け負うのを今期入隊の新人くんが目撃して隊舎内はちょっとだけざわついた。
なにせ副隊長の性格を知る私達には容易に『何か副隊長だけが楽しいことを企んでる』のだと結論付けることができるから。ざわついたのは隊長の明日の苦労を思ってだ。


ふわり


視界に入ってきた白に意識を空に向けると星空が見えているというのに降り続ける雪、雪、雪。

だから今夜はこんなに冷えるのか。

毛糸のマフラーに口元を埋めながら目線だけで空を見る。
粉雪はいつの間にか星空を覆いつくし、空も地面も気付けば白く染まっている。
いつもの帰り道とは違う目の前に広がるこの光景におもわず見惚れてしまう。
作り物の、イミテーションじゃない本物の感動に。そして――

「…なに、にやけてんだ」
「ふふ♪」
「…早く行くぞ。寒い」

眉間にしわが出来るまでではないにしろ半目の隊長殿のポケットへ招かれた右手は、すぐに温かくなった。








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メリークリスマス
今宵も良い夢をあなたに

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