ぶりーち

□さよなら愛しい人
1ページ/2ページ

空気以外には、何も無い部屋で。
ティキが一人の少女と向かい合って立っている。

「ティキ、大好き。ティキ、愛してる。」

「ああ、オレも。」

「大好き大好き大好き…っ」

「なんで泣くんだよ?」

「ティキがいつか絶対に私から離れていくって知ってるから。ティキが何かに心を残すことは絶対にないもの。あたしにだって。」

「…そんなことねェよ。」

「だから、もうティキのことは忘れることにしたの。」

涙が光る顔で、おだやかに微笑む少女。

「お前…」

「さよなら。」

パン、と渇いた音が部屋に響いた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ