ぶりーち
□さよなら愛しい人
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空気以外には、何も無い部屋で。
ティキが一人の少女と向かい合って立っている。
「ティキ、大好き。ティキ、愛してる。」
「ああ、オレも。」
「大好き大好き大好き…っ」
「なんで泣くんだよ?」
「ティキがいつか絶対に私から離れていくって知ってるから。ティキが何かに心を残すことは絶対にないもの。あたしにだって。」
「…そんなことねェよ。」
「だから、もうティキのことは忘れることにしたの。」
涙が光る顔で、おだやかに微笑む少女。
「お前…」
「さよなら。」
パン、と渇いた音が部屋に響いた。