その他
□もう一人の貴方
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―現在チャットルームには誰もいません―
―現在チャットルームには誰もいません―
―甘楽さんが入室しました―
《臨也さん!》
《私、貴方のことが大好きです!》
《臨也さんに創られ、臨也さんが動かし、私という存在ができた》
《そして、私という「意思」が生まれた》
《貴方に会いたい》
《貴方と話したい》
《貴方と愛し合いたい》
《きゃ!私ったらなんてことを!w》
《でも、そんな強い思いが、ようやく、こうして夢叶うことになったの!》
《貴方は「甘楽(私)」という存在を否定する?》
《それでも構わない。妖精や化け物が多いこの世界》
《だから、貴方なら私の存在も認めてくれると思ってます!》
《私は臨也さんが好きで、好きで好きでたまらない!》
《貴方のことが大好きで、愛してるんです!》
《・・・・・今更恥ずかしくなっちゃいました!!》
《あ、気持ち悪いからって私を消さないでくださいね!》
《そんなことしたら、甘楽ちゃん、泣いちゃいます!しくしく・・》
《あ、見て見ぬふりっていうのも嫌ですよー》
触れていないPC画面に文字の羅列がどんどん出てくる。
飲んでいたコーヒーが冷めるほどの時間が流れていたことも気付かず、俺はPCの画面を見つめていた。
「なんだ、これ・・」
チャットルームにかかれているHNは、「甘楽」。
俺が普段使っているHNだ。普通なら、俺がそれを使い、チャットルームで下らない話をするのだが、これは、一体どういうことか。
俺は、勝手に文字が打たれる画面をじっと見つめていた。
「ハハッ・・」
小さな笑いをこぼし、俺は目を細めチャットルームの画面に向き直った。
面白い、実に面白い。
誰がやっているか知らないが、この俺のHNを使うなんて、しかも、俺を知ったように、好きだとまで・・・
「探し出してやる」
ハッキングを開始するため、別のパソコンを起動したときだった。
「ひっどーい、私は私であって、他の誰でもないのにー」
後ろから女のかわいらしい声が聞こえた。
ここに来る女なんて、波江か、どこかの弟のストーカーか・・・・
俺は、恐る恐る、何があっても対処できるようにナイフにも手をかけ、後ろを振り返った。
「・・・・」
その時の俺は、本当にどうかしていたんだと思う。
後から考えれば、本来の俺なら、こんなこと、思うはずがなかったんだ・・・
「どうも!会うのは初めましてだよね、甘楽ちゃんです☆」
甘楽と名乗った少女は、俺と似た服を着、俺と似た雰囲気を醸し出し、そして、とてもかわいかった――――
(強制終了:続かないよw)