その他

□see , look , observe
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「はぁ、はぁ..」


一所懸命走って到着したのはカードキャピタル。
今日はショップ大会受付申し込み最終日。
だから走ってここまで来たのだが、扉の前で足が止まってしまった。
僕の力じゃまだまだショップ大会に出ることなんて無理だと分かってはいる。
それに、カイくんだって来ないかもしれない。
そんななか、僕はショップ大会なんて出ても仕方ないかもしれない。

そんなことを考えながら、足を一歩踏み出し、自動ドアを通り過ぎる。

中では店長が大会の参加者を集めていた。
残り2人。店長がそういった時、僕の胸は緊張で張り裂けそうになった。

周りのことたちが話しているのを聞くと、尚のこと、出ることはできない気がしてきた。

帰ろうか、と自動ドアに向き直ると、店長が話しかけてきた。

「おぉ、アイチくん!アイチくん、参加するんだね?」

「え、いや、あの・・・」

僕が言い淀むと、店長は話を進めてしまい、僕に紙とペンを差し出してきた。
けど、

「てて、店長!僕、やっぱり自信が・・」

そういって頭を下げて参加を断る。
本当なら出たい。でも、初心者の僕が参加しても、勝ち残れる自信なんてない。
きっぱり諦めようとしていた時、後ろの自動ドアが開いた。

「・・受け付けてくれ」

その声に、その姿に、僕の心臓は一気に跳ね上がった。

入ってきたのは、僕の憧れであり、目標とする人物。今、最も戦ってみたい人、櫂くんだった。

「櫂くん!参加してくれるんだね!」

店長に渡された用紙は大会参加申し込み用紙だったようで、きらきらしながら櫂くんに話しかける。

「ふん、まだ出会ってない奴がいるかもしれない。戦う価値のあるやつがな」

ということは、本当に櫂くんは大会に参加するということ。それが、今僕の目の前で決まった。

「よーし、これで枠はあと一つだ。さ、誰かいないか?速いもの勝ちだよ?」

店長が他にはいないか、店に来ていた子たちに話しかける。

櫂くんがでる。櫂くんとファイトすることができる。今の僕の中には、ただそれだけのことでいっぱいになっていた。

「・・申し込みます!」

僕は最大限の勇気を振り絞り、大きな声で店長に言った。

 
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