頂き物
□だって君が好きだから!
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例えるなら、彼は荒野に咲く一輪の花。
他の言葉で表すなら『天使』が妥当だろう。
…だからまぁ、僕らが彼を欲しがるのはなんらおかしくないというわけだ。
「いらっしゃい、善吉君」
にこにこ にこにこ
満面の笑みで迎え入れた真黒に、善吉はよくわからないなりに笑顔を返した。
ズキュン!
(あれ?なんか今撃ち抜かれた音がしたような…?)
キョロキョロと周囲を見回すが、特に何か変わった様子はない。
強いて挙げるならば、真黒の笑みが深くなったぐらいだろう。
「善吉君は、本当に可愛いね」
「は?いや、俺は可愛くなんか…」
「いいや、君は可愛い。君以上に愛らしい存在なんてこの世に存在しないよ」
真顔で力説され、ボボボッと善吉は顔を赤くさせる。
(おや、これはいい感じじゃないか?)
据え膳喰わぬは男の恥。
いただきます、と心の中で合掌し、善吉へと手を伸ばす。
バンッ ドカッ ガシャーン!
「善吉に手を出そうなど、言語道断!生徒会を執行する!」
踏ん反り返り、善吉を自分の背中で隠しためだかは、めだかに蹴り飛ばされた事で棚にぶつかり倒れた真黒を見下ろし、キッと睨みつけた。
「酷いなめだかちゃん。久しぶりに会ったというのに、相変わらずのつれなさだ」
余裕たっぷりによいしょと立ち上がりニコニコと笑う真黒は流石というかなんというか。
善吉はめだかの後ろで何がなんだかといった様子で頭上にクエッションマークを飛ばしている。
((可愛過ぎる!!))
そんな些細な事でさえ愛らしい、神レベル、いや神以上だ、等と高いシンクロ率を発揮しながら善吉を褒めたたえる二人は、正に善吉バカ。
これだけおおっぴらに愛されているというのに、当人の善吉は全く二人の気持ちに気付いていないのだから、最早哀れとしか言いようがないだろう。
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