めだ箱
□それだけで
1ページ/2ページ
俺が真黒さんに対する思いを自覚したのは、小学校のころ
彼に、あの頃の俺じゃ、めだかちゃんの傍にいては身が持たないと言われた。
その言葉にかなりのショックを受けた。
あの後、真黒さんが何か言っていたけど、俺は頭が真っ白になっていて聞いていなかった。
だって、真黒さんが言った言葉は、裏を返せば、
真黒さんのそばにもいてはいけないと言われたも同然だったから。
あの頃の俺は、純粋にめだかちゃんが好きだった。
でも、それ以上に真黒さんのことが好きだった。
いつから好きになっていたのか、覚えていないが、いつも目に入っていたのは真黒さんだった。
まぁ、真黒さんの中にあるのはいつも妹のめだかちゃん。
俺を見てもらおうなんて、所詮、無理な話だったのかもしれない。
それでも、めだかちゃんについていくのに必死で体を鍛えた。
その甲斐あって、今は彼に俺を見てもらえている。
「善吉くん?」
俺の名を愛おしげに呼んでくれる。
その瞳に俺を映してくれる。
それだけで幸せ。
これからもずっと、
おまけ&あとがき→