めだ箱
□オーソドックスだが、これがまたたまらない!
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ピンッ!
俺は不機嫌である。
ちりん、ちりん・・
それはもう、サタン不機嫌である。
くるくる、ふわふわ
どれもこれも、すべてはあいつのせいなんだ。
――――――
――――
――
「善吉!ああ、なんてかわいいんだ。私の思った通り、最高だ!」
めだかちゃんが、今にも発狂しそうな声を張り上げてくるくると踊っている。
バレエダンサーもびっくりなほど、それはもう、くるくるくるくる・・・・
「しかし、本当に似合っているね」
「なんでそんなに似合うかな。私、ちょっと悔しい?」
ぼけーっと俺を見ている阿久根先輩。
百面相のようにくるくる表情を変える喜界島。
っておい、なんで最後が疑問形なんだ?
いや、そんなことよりも、似合っても俺はうれしくない!!
そう、何故めだかちゃんが歓喜して、阿久根先輩がぼけっとして、喜界島が百面相なんかしているのかっていうと、
「『メイド服&猫耳。オーソドックスだが、それがまたたまらない!!』の衣装を着た善吉くんの生写真。今なら5枚セットで1000円ぽっきり。さあ、買った買った!!」
廊下で叫ぶ元凶のむかつくほど興奮した声。
そう、奴、黒神 真黒が持ってきたこの、「メイド服&ねこm・・・なんとか!!」を強制的に着せられ、写真を撮られ、未だに脱がせえてもらえない。
あの人は一体何がしたかったのか知らないが、オレのこんな、恥ずかしい写真を撮って売らないでくれ!
つか、そんなもの誰も買うはずが――
「そのセット、3つくれ」
――なんかいた。
「・・って、え、嘘!誰だよ、こんなものを買おうっていうおかしなやつは!?」
ありえない。しかも3つとか・・・・と考えながら、声がした廊下に顔だけ出してみるとそこにはとんでもない奴がいた。
「う、雲仙・・先輩?」
そこにいたのは、小さな風紀委員長。
今まさに、代金を支払い「物」を手に取ろうとしている雲仙せいパイの姿があった。
「ちょ、先輩!何やってんすか?!」
慌ててそれを止めようと扉から体を出す。
だが、これは失敗だ。自分にとって、今世紀最大の大失態だ。
なんせ、今のオレの恰好といったら・・・
「ほー、写真と同じ格好で出迎えるとは、流石、我が奴隷。いや、今はメイドか。俺の帰りが待ち遠しかったのだな」
そう、写真と同じ姿。つまり、メイド服&猫耳を着たままのデビル恥ずかしい恰好なのだ。
って、
「み、都城 先輩!?」
そう、雲仙先輩を止めようとして出て行ったら、後ろには、何故か都城先輩。
しかも、なんですかその格好。
腕を広げて、「さあ、俺の胸に飛び込むがいい!」みたいに俺を見ないでください。
つか、もしかしてあんたもあれを買ったのか!?
前には、写真を手にほくほくしている雲仙先輩。
後ろには、両手を広げて俺を待つ都城先輩。
まさに、前門の虎、後門の狼、だ