過去拍手
□10000HITサンクスカフェ!
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カウンターの傍まで行き、いつも見ている店をあらためて見回した。
いつもと同じなのに積っている雪の反射や太陽の光が入ってきていてとてもきれいに思えた。
見慣れた光景なのに、不思議な感じ・・・
ふと、ドアの外にいつもはない影があるのに気づいた。
「なんだろ?」
光が逆光になっているせいで、あまりはっきりと形を見ることは出来なかった。
人のように見えるけど、休業日って書いてあるはずだから来る人なんていないはずなんだけど・・・
気になったので近づいてみることにした。
「遅いよ。一体どれだけ僕を待たせるきだい?」
あとちょっとでその影の正体が分かるとき、その影から声が発せられた。
「えっ?って、ひ、雲雀さん!?」
その影は、ここが紅茶を主に取り寄せている紅茶専門店“雲雀”の店長兼並盛の自治会長でもある、雲雀 恭弥だった。
「ちょっ、なんでここにいるんですか!あぁ、でもその前に早く中に入ってください。外は寒いでしょ。あ、手だってこんなに冷たくなって・・・。」
オレは必死になって雲雀さんを中に入れた。
つないだ手から相手の体温がとても冷たいことが伝わった。
どれだけ待ってたんだろう。
「ざっと30分くらいかな?」
「心読んで答えてくれなくてもいいですよ!その前に、なんで呼んでくれなかったんですか、呼んでくれればこんなに待たせることもなかったのに・・・。」
ストーブの近くに行き、雲雀にかけるように毛布を引っ張り出した。
「うん。まぁ、待つのもたまにはいいかなって思ってね。」
「えっ?」
「なんでもないよ。それより、おいしい紅茶入れてよ。外、本当に寒かったんだから。」
「は、はい!」
オレは急いでカウンターのほうへ行き、雲雀さんのお気に入りの紅茶の葉を出した。
茶葉を蒸らしている間、もう一度雲雀に目をやった。
やはり外の長くいたせいか、ストーブのほうに手を当てていた。
そんな姿を見ると、さっきまでの焦燥感もどこかに行ってしまったような気がした。
あなたが来てくれるなら
一人だって寂しくない。
こういう休日の過ごし方も
たまにはいいかな。
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