過去拍手

□バレンタイン!
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それから数時間後

チョコは完売して、店仕舞いをしようと奥に戻ろうとしたとき店の入り口が開いた。

「あ、いらっしゃいませ」

店としてはまだやっている時間帯なので振り返っていった。

「やぁ」

そこにいたのは今日は来ないと思われていた人だった。

「ひ、雲雀さん!?」

今日はどうしたのかときくと、

「君のチョコを貰いに来たんだよ」

「はい?」

チョコはもうすでに完売してしまった。
しかし、雲雀は自分のチョコを御所望らしい。

「えっと、もう完売してしまったのですが・・・」

勇気を振り絞りなんとかいうが、そんなこと知らないというように手を差し出された。

「ないなら今から作りなよ」

「・・・」

冗談ではなく、本当にそう言っているようでオレはあきらめて厨房に入った。



それから30分後。ようやくできた。


「で、できました」

急いで持っていくと店内は大荒れだった。

「十代目・・」

「遅いよ」

暴れていたのは獄寺と雲雀。だが、力の差は圧倒的で獄寺は床に座っていた。

「いや、何してるの?」

「こいつを果たそうと・・・」

「うるさいから咬み殺そうと」

2人の言葉に疲れ切っていた綱吉はもう何も言えなかった。いや、見なかったことにしようとした。

「はい、雲雀さん。材料も時間もほとんどないので簡単にトリュフにしました。これで我慢してください」

「ありがとう」

「!」

あの雲雀さんが礼をいった。あの史上最強の雲雀さんが・・・ひばりさんが・・・

綱吉の頭の中で雲雀が言った言葉が繰り返された。

「ホワイトデー楽しみにしてなよ」

それだけ言って彼も店を出て行った。


「ねぇハル」

「はい?」

「オレね、今日学んだことがあるんだ」

「なんです?」

オレは少し遠くを見つめながらいった。

「バレンタインって、恐ろしいね」

「?」

今日から一ヶ月後が来なければいいのに、と心の底から思ったとか思わなかったとか・・・

END
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