全てが優しい世界に満ちて
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「―――私には、不思議な力があります。」
誰もいない司令室。
車いすに座る最高司令官を見つめていた私は震える唇を噛みしめ、声を溢す。
「―――稲嶺司令官」
「……何だい。」
「―――私は、とあることがあってこの世界に来ました。その経緯は私の深い傷に関わるものであるため、詳しくは話せないです。
…そんな私はある青年の支えに救われ、この世界で生きていこうと思いました。
看護師と言う資格を取ったのは私にとって必要な資源だったから、と言った方が妥当かもしれません。」
――貴方がみた蒼い光。それを私はチャクラと呼んでいます。
「―――ちゃ…くら?」
「―――詳しくはいいません。言っても分からないのが当たり前だから。」
「―――そう…か。話してくれて有難う。」
信じてくれなんて、そんな我儘は言いたくない。けれども、事実を話したのは確かだ。
「―――では失礼します。」
――振り返り、ドアへと足を向けた私は扉を開ける。
広がった視界に広がる廊下へと足を踏み入れた私は小さく息を吐いた。
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