見上げた空は青かった。
□4 全力疾走
2ページ/3ページ
「じゃあ…、エミさんはあの席に座ってもらいましょうか。」
「あ…ハイ。」
指された席は丁度外が眺められる窓側の席。私の好みの位置だ。
心の中で一人、ガッツポーズをして席に向かって歩きながら、ふと、自分の席の後ろに視線を向ける。
(あ…)
視線がバチリと合う。
後ろの席の相手は私の姿に驚いた表情を見せたが、次の瞬間、嬉しそうな笑みを零し、手を挙げた。
「よっ」
自分を自然に向かい入れてくれる態度を示す彼――安藤翼に私も手を挙げて彼と同じような動作で返事した。
―――――――――――
「疲れた…。」
どっと出てきた疲れに、溜息を零し、机にうつ伏せる。先程まで周りで私に質問していた生徒達は、休み時間ということもあり素早く立ち去ってくれた。質問されるのは嫌いではないが…、やはり恥ずかしさが残る。
「お疲れー。あれ?エミってクラスどこなの?」
「クラス?…ここじゃないの?」
美咲の質問に、首を傾げ答える。
その答に目を丸くした瞬間、苦笑しながら、違うよと否定した彼女は私を見て口を開いた。
「クラスってのは、ここじゃなくて…個人のアリスに合った能力クラスのことよ。次の時間はそこに行かないといけなくてね…。」
.