好きなくせに馬鹿みたい

□第七話
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「―――よし……っと」



パチン、と。指先に触れたスイッチが鳴り響くと共に、暗さを取り戻した自分の部屋を見つめていた私は、小さく息を吐き、荷物を肩にかけた。



(――1ヶ月かぁ…)



ここで彼と過ごした最後の時間は、とても短いものだったけども。それでも、心から消えることのないこの温もりはきっと、これから先も消えぬものではないかと思う。
そして、それと共にこの胸にある感情もきっと、いつまでも自分の中に燻り続けるのだろう。



「……『寂しい』か」


厄介な『感情(もの)』を自分に残していったと感じてしまうのは変わることのない事実だけども。それでも、心の中で無意識に受け止めている自分がいるということに気づいたときは、驚きを覚えたのも事実だった。



(―――きっと、わたしにとって貴方は…)




「―――本当に大好きな人だった…か。」





二度と戻ってこない場所なのかもしれない。
だが、また戻ってくるそのときまで。



「――行ってきます。」




返されないその言葉を部屋に向けて呟いた私は、肩に乗り尾を揺らすトラの背を撫でると共に、ドアを静かに閉めた。














第七話









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