星屑の欠片
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「―――エミちゃんってさ、気持ち悪いほどチャクラコントロール、上手いよねえ。」
「―――気持ち悪くて悪かったですね。リンカさん。」
教えているお前には言われたくないわ。
そんな風に、呟いた私は今日終わった修行による疲労を感じながら、背伸びをした。
(―――そういえば。)
「―――リンカさん。聞きたいことがあるんですが…」
「ん?何だい?」
「一時的に神経に電気に変えたチャクラを流して、人間の脳を操作することってできると思いますか?」
まだ医療忍者の弟子として学ぶことは多いが、リンカさんから修行につきあってもらっている私が考えたのが、自分のチャクラコントロールを生かすこの術である。
「――可能だと思うよ。第一、あの医療忍者のスペシャリスト、綱手様もそのような術を持っているしね。
精密なチャクラコントロールができて、尚且つ諦めが悪い君なら、不可能ではないと思うよ。」
僕の弟子だからね。
そう言って笑うリンカさんの表情はいつもと変わらぬ穏やかなもので。
朝日が上がる前につきあって貰っていた修行を切り上げようと口を開いた彼は、立ちあがった私の姿を見て思い出したかのように、口を開いた。
「―――そういえば、エミちゃんって今日、卒業試験じゃなかったかい?」
「―――そうですよ。」
―――分身の術がメインのテストだったな。
なんて思い返していた私は、ポーチと巻物を腰元につけた。
「――じゃあ、リンカさん。修行、ありがとうございました!行ってきます!」
空中へと舞い上がった私はアカデミーへ向けて足を速めた。
――――――――――――――――
―――卒業試験は無事に終わり、額当てをイルカ先生から戴いていた隣で微笑んでいる男性に視線を向けた。
(―――ミズキ先生だったけ…)
この後、ナルトを利用して巻物を盗む筈だったと。
思い返していた私は、小さく頭を下げたまま、玄関へと足を向けた。
「―――今日の夜かあ…」
未来を知る少女と言われている私の行動は、火影様にも見抜かれていることだろうから。
一日ぐらい、動いていいだろう。
なんて、甘い考えを持つ己の思考に小さく息を吐いた私は、アカデミー玄関前に待つトオルさんと雪さんに向かって手を振った。
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