星屑の欠片

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「―――よし。」



傍にある薬草を丁寧に摘み取り、薬を作るための道具を出していた私はふいに視線を上げる。
視界に入った青空に一人目を細めた。



―――木のぼりの修行。
カカシ先生が言い渡したそれを難なくクリアしたのはサクラだけじゃなく。
精密なチャクラコントロールを得意とする己の特徴を生かすため、初めてリンカさんより修行を言われたのがこの木のぼりの修行だったのだ。




苦戦するサスケとナルトも昨日より、修行を無事終わることができて。
爆睡するナルトを見ながら、彼が起きるまで待っているとカカシ先生に言った私の次の行動はこの森に薬草をつみにくること。

これから起こるであろう物語に小さく息を吐いた。




「―――助けた方が良いのかなあ…」



――原作を壊すというのは、酷く怖い。
自分がこの世界にいるということを忘れてしまう時があるほど、私は自分が生まれ変わった世界が好きだ。



以前、再不斬と戦った時に思った第七班への感情。

私は、短い時間を過ごした同期の彼らのことを好きだと思った。




再び、空を見上げ息を吐く。
ふと脳裏に浮かび上がった一人の人間の顔に思わず首を傾げた。




周りの人間に比べ、大人しく生活していた私に皆と同じ優しさを向けた教師の姿。




「―――イルカ…先生かあ…」



不器用で素直で真っ直ぐな彼の人柄に会って話したい。
そんな風に感じてしまった私は、小さな微笑を溢した。




(―――私も、まだまだ子どもだなあ…)





―――会う口実なんて、ないというのに。
それでも尚、会いたいと感じる己の感情に首を傾げていた私は、微かに響いた悲鳴に目を見開いた。



(―――あの声って…イナリくんの…)




マイペースに薬を作って過ごしていたらこんなにも時間が経っていたのか。
なんて我に返った私は、既に作り終わった傷薬を瓶に入れ、立ち上がる。
揺れる木々の中、瞬身の術を使い彼らの元へと足を速めた。
























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