星屑の欠片

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「―――いきなりだが、お前らを中忍選抜試験に推薦しちゃったから。


これ志願書な。」



遅刻をしたカカシ先生から渡された紙を視界に捉えた瞬間、頬がつるのを感じた私は心の中で呟いた。




―――マジ?



「中忍試験…?」


サクラからの戸惑いの声に頷いたカカシは声を落とす。


「―――といっても、推薦は強制じゃない。受験するかしないかはお前らの自由だ。」


「い…やった―――ッ!カカシ先生大好きだ!」



ナルトの抱擁と言う名の抱きつきに呆れた表情を浮かべたカカシは一回転した後、彼を地面へと下ろし、言葉を続ける。




「――受けたい者だけ、その志願書にサインして五日後の午後三時までに学校の301号室に来ること。

―――以上!」



そう言って瞬身の術で姿を消したカカシを見ていていた私は小さく息を吐いた。


四人で帰りながら、視線を双方に向ける。



(―――サスケもナルトも…やる気満々…。


サクラは…少し元気ないなあ…)




そんな風に考えながら、分岐点で別れた私は立ち去る三人の背中を見ながら、振り返る。
家に帰ろうかと歩みを進めた瞬間、肌を覆った鋭い殺気に目を見開く。



(―――どこから…?)



気配を読むために、神経を集中させたと同時に殺気が向けられている方から飛んできたのは起爆札付きのクナイで。
それを避け、空中へと舞い上がった私は森の方へと足を速めた。




(―――誰か分からないけど…ッ。里の街中で狙うんじゃないよ!)



視線を上に向けた瞬間、空中から己に向かって飛ばされるクナイをはじき返し、演習場へと足を向ける。


視界に入りこんできた翠の景色に目を細めた私は、演習場の中に飛び降りた。



(―――それにしても…襲うってどういうことよ…)



深い森の中、気配を消し殺した私は相手の存在に神経を向けながら考える。



―――推薦した。
担当上忍から言われたその言葉に反対する人物が居なければ、まだ新人である己にこのような試す行動はとらない筈。
それは再不斬に向けられた殺気とは違う感覚を覚えた己の勘が出した答えだった。


―――脳裏に浮かび上がった一人の男性に思わず息をのむ。



(―――イルカ先生…は確か反対した一人だったよね…)



ということは、これは彼の意見を飲んだ三代目火影様が仕組んでいることかもしれない、と。
そんな風に考えた私は真横から飛んできたクナイが木に突き刺さる瞬間を視界に捉えていて。
一瞬でその場を立ち去り、木々が避けている広場へと足をつけた私は目の前で降りた忍びの姿を静かに見つめた。



額当てに刻まれる三つの線に他国の忍びだと判断しながらも、頬に触れたのは懐かしいチャクラの感覚で。
あ、と心の中で声を溢した私は目の前にて笑う人物を見つめた。



「―――さあて、どんな風に殺して欲しい?」
「……そんなこと通用しませんけどね。」



―――だって、貴方のこと。私、よく知ってますもん。



そう呟いた己を見たまま彼が結んだのは印。
地面に手をつけた彼は、声を発した。


「土遁、岩牢屋の術!」


発された敵の言葉と共に己の視界を覆ったのは土の壁で。
ゆっくりと狭まる厚い土の壁に気付いた私は巻物を取りだす。
手にした日本刀を握りしめた私はチャクラを一気に練り上げる。



「―――風遁、風藍舞の術。」



刀を覆った鋭い風にチャクラを練り込んだ刀を構え、己の覆う周りの壁を切りかかった瞬間、爆発と共に吹き飛んだのは先ほどまで己を覆っていた地面の壁で。


チャクラを練り込んだ風の性質のチャクラが己の肌に傷をつけると同時に、傷を修復していた私は、開いた視界の中、立つ人物に向かって笑った。



「―――で、リンカさん。評価はどうでしょうか?」



変化を解き、己を見たまま呆然と立ち尽くした彼は驚いたように声を落とす。



「―――エミちゃん。君、何時の間に…風の性質を持っていたんだい?」

「――別の人に少しだけ、教えてもらっていたんです。」



くわえたばこでシカマルたちを見る担当上忍の顔を思い返していた私はリンカさんを見上げて小さく笑う。




―――中忍、頑張ってね。
そう言って笑う師に向かって返事をした私は手にしている刀を巻物の中へと仕舞った。


















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