星屑の欠片

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――――好きだからだ!



頬に触れる風を感じながら、窓の外を眺めていた私は心臓の奥で握りしめられた痛みに顔を顰めた。



(――――好きかあ…)


木の葉崩しの後、怪我で倒れた自分のところに足を運んだ彼は、死さえも覚悟した私の無事に安堵し涙目で必死に一つの言葉を向けた。
優しく相手に情が深い彼―――うみのイルカの告白を受け1週間の月日がたった。



―――答えは、出ない。



「―――はあ…」



零れるため息を零し、ベッドから立ち上がった私は窓の景色に瞳を細めた。
最近といえば、イルカ先生の言葉を思い返すたびにふしぎな胸の苦しさが覆うことがもう一つの悩みだ。
―――心臓病ではないとは思うけれども。




「―――エミちゃん…。入ってもいいかい?」
「はーい。」



扉の外で聞こえた問いかけに返事を返した私は、中に入ってきた男性の姿に唇を緩めた。
幼い雰囲気を持つ彼は、私を見つめ人の好さそうな笑みを浮かべた。






「――――怪我は…どうだい?」
「…お疲れ様です。リンカさん。
んー…。ひとまず、明日くらいには退院できそうです。」
「―――そうかい。でも、無事でよかったよ」
「―――……心配かけてすみません…」




木の葉崩しの後、三代目は大蛇丸との戦いでこの世を去った。あれから月日は一週間ほどしかたっておらず、私が目覚めたのも三代目が亡くなって3日ほどしかたっていない。
多くの命と被害を出した木の葉の里は、抜けた人数の穴埋めをするために現に今の忍びのほとんどは里外に出ているらしい。




「―――本当にね。それよりも、一緒に来てほしいところがあるんだけど…」
「―――…うん?」



―――何だろうか。首を傾げる私の顔を見つめ真剣な表情を浮かべた彼は声を落とした。






「―――君に、“中忍”の昇格への話が持ち上がった。」


「―――中忍…」









―――じわり、と。緊張からか頬を汗が流れる感覚を覚えた。
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