星屑の欠片

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「――…大丈夫だったか?」


地面で眠るように意識を失うナルトの身体の傷に医療忍術を施していた私は、頷いた。
彼を背負う担当上忍――カカシ先生を見上げ声を落とす。



「―――臓器に損傷もないです。表面上の怪我は全て治しました。ただ今、ナルトのチャクラ量は普段と比べ減っているので、すぐには動けないと思います。」


静かに寝息を立てるナルトの顔を見下ろしながら、立ち上がった私はカカシ先生の傍にいるぱっくんを見下ろした。
―――原作を見ていたからだと思うが、ぱっくんはいつ見ても可愛いわ。



「―――なあ。エミ。」
「…?―――何ですか。」
「―――お前は…サスケのことをどう思っているんだ。」
「……」





―――木の葉崩しの後、サスケとはあまり会えていない。
それでも、それまで一緒にいた記憶と想い出は私の中に根強く縛りついている。


視線を動かした先にいるのはカカシ先生から抱えられ、意識を失うナルトの姿。
傷だらけの彼が必死に掴もうとした彼との繋がり。
――それは確かに、己の中にも存在するもので。





「―――私は。」
「?」
「―――ナルトと一緒にもう一度、笑っている彼の姿が見たいです。」





――――もしかしたらそれは叶わぬ夢物語かもしれない。それでも私は―――。



「―――ナルトが諦めても、私は諦めたくない。」






―――だって、私にとって彼もナルトも。
大切な仲間だから。








そういって笑った私は目を丸めるカカシ先生の顔を見ながら、空を見上げた。
―――雨が上がり、空が顔を見せる。




「―――じゃ、カカシ先生。私は先に里に戻ります。」






そう声を落とした私は頷くカカシ先生を横目にしながら印を結んだ。
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