星屑の欠片

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「―――日比谷!次の患者が来る!…用意しとけ!」


「―――ッ、はい!」



医療班という文字を背負う己の先輩上司、ナツメさんはカルテを見下ろしながら声を発する。
その隣で同じようにカルテを見下ろす女性は茶色の髪を額当てで結びながら、青色の瞳をナツメへと向ける。



「―――別にそんなにカリカリしなくてもいいじゃないかしら。…それに、なっちゃん。あんまり怒りすぎてたら、女性が逃げていくぞ☆。」
「―――名無しさん。あんたは性格に合わず随分と…口うるさいですね。」
「―――だって、仕方ないじゃない。私の可愛い後輩を苛めている姿をみたらさ。

―――それに。」
「…それに?」
「―――今日は、大切なイベントがあるみたいだし。エミには、早くここを帰ってもらわないといけないしね。」





――――己の先輩であり、同じ運命を辿るというカミングアウトを零した彼女の言葉に目を丸めた私は、脳裏に浮かび上がった金髪の少年の姿に唇を緩めた。
うちはサスケが木の葉を抜け―――3か月。
今日はナルトが自来也と修行の旅にでる日だ。




「―――急患です!臓器の損傷が大きく、出血量も酷いです。」
「―――詳しくは私が聞くわ。―――ナツメ・日比谷。患者の治療に今すぐあたって。」
「「―――はい」」




彼女の言葉に頷いた私とナツメ先輩は処置室へと向かいながら、足を速めた。









――――この世界に生まれ変わってから。
多くの人間と出会い、初めての仲間ができた。
前世の記憶を持つ私がこの世界でつけられたのは―――未来をしる小さき少女というもの。
ナルト、サクラ、サスケ、カカシ先生、両親、同期の仲間。
―――私を好きだと言って笑ったイルカ先生の存在に。



―――最初は距離を置こうと走ってきた私の中でこの世界で生きたいという欲が生まれた。
―――そして―――これからは。
医療忍者として、―――日比谷エミとして強くなりたいと思う。






ナツメさんが処置をする中、ゆっくりと手を重ね合わせた私はチャクラを練りこんだ。





























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