星屑の欠片

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「――鬼の子。忌々しい、鬼の子。」



視界に入ったのは、木々の中、立ち尽くす子供の姿。その空間の中で響くのは、腹の奥に潜む人の苦の感情の色を灯した声。
俯く子供の顔がゆっくりと上がる中、己の視界に入ったのは。



(―――何…このチャクラ…)


額に角を持つ―――小さな子供の姿。
その目を見た瞬間――背筋を這いあがったのは恐怖。



「―――殺してやる。」



ぽつりと零したその声は―――憎悪に満ちていた。












22







「―――ッ!」



のど元から悲鳴を上げ、起き上がった私は胸の奥で叩く心の臓を感じながら息を零した。
―――不思議な夢を見た気がする。



「―――今日は…休みだったか…」



昨日まで任務に出ていた私の体は休養のために睡眠を多く取りすぎていたらしい。
自分の部屋から出て、リビングへと足を向けていた私はキッチンに立つ母親を見つめた。



「―――おはよう。お母さん。」
「あ、おはよう。エミちゃん。朝ごはんは食べる?」
「―――うん。」


日比谷家のいつもの日常。
母親の後姿を見つめていた私は奥の部屋から出てくる父親の姿に目を丸めた。


「―――父さん、…休みなの?」
「―――ああ。お前もか。随分と頑張っているとリンカから聞いたが。」
「―――うん。勿論。」



父親の問いに頷いた私は微かに笑みを浮かべた彼の姿に目を細めた。
リビングにある時計を見ながら、これからの予定に唇を緩める。





―――ナルトがこの里を出て、
今日で丁度1年が経った。
私は、中忍として任務に没頭しながら、木の葉病院に勤務する日々を送っている。
―――そして、現在。与えられた休みを有難くいただいている。




「―――そういえば、エミちゃん。」
「?何。」
「―――今日、久しぶりに家族で夏祭りにでもいかない?父さんも、夜は予定が入ってないみたいでね、」
「―――え。」



嬉しそうに話す母――雪さんの姿に唇を閉ざした私は、脳裏に浮かんだ男性の姿に目を細めた。今日は、イルカ先生と会う約束の日だ。


「―――えっと…ね。今日は無理…」
「えーー?どうしてよ。」
「―――先約があるから。」



頬が赤くなるのを感じながら、零した言葉に勘がよろしくない雪さんは気付かなかったらしい。その隣で、無表情で朝食を食べる我が父―――トオルさんは「まあ、二人でデートするか。」と声を発した。
…我が父でありながら、ツンデレ具合、半端ないです。





















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