星屑の欠片

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「―――とは言ってもよ。日比谷。」
「―――ん?」
「―――本当にこんなんでうまくいくのかよ。」

「―――やるしきゃないでしょ。」


―――あれから老婆の元に居候していた私たちは再び狂言花について調査していた。
けれども掴める情報といえば、何もなく。
唯一手がかりである老婆の情報を頼りに私たちは今、彼女の付き人として変化している。
花の国の北にそびえ立つ塔を見上げながら、歩みを進めていた私は隣で歩く老婆に視線を向ける。



「―――…ここより、王宮に入るぞ。…とはいえ、気を抜くではないぞ。」


そういって私たちに声を発した老婆こと、名をヨルと名乗った彼女は再び歩みを進める。
この国のトップ、王や大名の薬師として役割を持つ彼女は、月に一度だけこの王宮とその森に入ることができる許可があるらしい。



「―――…今の所、変わった感じはねーな。」


キバの声とともに彼の胸に隠れる赤丸の小さな鳴き声が響く。
その音に周りの見張りが不思議そうに見渡すのに冷や汗を感じながら、足を進めていた私は、肌を感じたチャクラに目を見開いた。



「…何…?」


王がいる場所へと進んでいた私たちが忍びであるということを見張りの兵はおろか宮殿の人間も築いていないというのに、
肌を襲った鋭いチャクラに神経を周りに向けていた私は「誰かくる!」と声を張り上げたヒナタの声に視線を上げる。




「―――ヨル婆よ。…王へ行くのは、一人でも十分だろう?」


己の真横で聞こえた男の声。
視界に入ったのは鬼の仮面をつけ、刀を構える男の姿。
驚きの表情で彼を見つめるヨルに斬りかかろうとした彼の攻撃をクナイで防いだ私は目の前で鬼の仮面をつける男を見つめた。



「―――客人に対して寛容じゃない反応じゃない。」
「――ハッ。野鼠が出しゃばった真似をするな。」


強い力で吹き飛ばされた私は空中で回転しながら、地面へと降り立つ。
腰にある巻物を空中に舞わせた瞬間、手元にしたのはチャクラ刀。
手に馴染むその感触に視線を鋭くし、男を見つめる。



「―――…貴方には聞きたいことはいっぱいあるわね。」
「―――どうだか。」


鼻で笑った男が印を組んだと同時に口元から吐き出されたのは火遁の技。
噴出された炎を避け、クナイを投げた瞬間―――それは炎に包まれるように燃えて。
舌打ちを零し、視線を双方に向けた私は鬼の仮面をつけ、ヒナタとキバと戦う集団に瞳を眇めた。






(―――今の所、敵は私を含め3人か…。)


煙りがたちほこる中、煙の中にある人影がゆっくりと揺らぐ。それを視界に入れながら、下ろしたままの髪を束ねた私は目の前で走ってくる男を睨みつけた。
















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