星屑の欠片

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「―――くそっ!とれやがれええええ」



塔の地下。―――壁にはめ込まれた柵の扉を鳴らしながら、叫んだ声は空間の中で木霊するように響いていく。舌打ちを零したキバは隣で体育座りのまま、顔を膝に着けるヒナタに視線を向けた。


「―――…おい!ヒナタ…!お前、さっきからどうしたんだよ!?」
「―――だ…だって…エミちゃん…いっぱい怪我してた…!」
「―――っ!」



キバの瞼の裏に蘇る映像。
何かの術を受け、吐血しながらも自分たちを見捨てようとしなかった彼女の言葉。
最後にみた彼女の身体は鬼の仮面の男により、もう見えないところまで投げ飛ばされていた。




「―――死ぬ…ってあの人に言われていた…。もしかしたら…」
「―――っ」


最悪の展開が頭の中に広がるのを振り払う。
隣で鳴く赤丸の声を聞いた俺は歯を食いしばった。



「―――ヒナタ。」
「……」
「―――俺は日比谷は死んでるなんて思っちゃいねえ。あいつは…ナルトと約束したんだよ。」



ナルトが木の葉の里を出てから―――ずっと彼女は師匠である鈴木リンカ特別上忍と修行を続けていた。―――未だに下忍である俺の前で彼女は笑ったんだ。



(―――お、キバくんと赤丸…散歩?。)
(―――おう。日比谷はこんな朝早くから修行かよ。)
(―――うん。また任務が入るから今からリンカさんの修行をつけてもらうの。


だって、ナルトと約束したんだもん。


次、会うときまでにもっと強くなるって。)

(―――お前まで…ナルト発言かよ…)
(―――アンっ!)

(―――えー…。そんな風に聞こえた?)
(―――ああ。)




そういって笑った彼女の笑顔は輝いていて。
そんな日比谷の目はけれども確かに強い決意を秘めていた。




―――あいつは死なない。
そう己に言い聞かすように、ヒナタに向かって声を発した俺は口を開く。




「―――日比谷が助けようとしたのに…仲間の俺たちが助けないって…あいつに失礼だろ。

俺は絶対、日比谷の足手まといにはならねえ!」

「―――キバ…くん。」


ヒナタの視線を関しながら印を組んだ俺の足元まで響いたのは地鳴りと塔が崩れる音。
へ、と口元を歪めた俺の隣で印を組み百眼で周囲を見るヒナタは声を発する。



「――――あ、…エミちゃん…!」
「―――っ!」
「多分、正面から入り込んだみたい…っ。…一人じゃないみたいだけど…」
「―――へへっ。そうかよ…。なら、俺たちも早くここから出ねえとな。」





そういって印を組んだ俺は、隣で同じように変化する赤丸を見て声を荒げた。


「―――『獣人体術 奥義 牙通牙』っ!」




―――――――





「――――よっと」


塔の中に入り込み、何人の兵を倒して登っただろうか。
刀を構えながらも、視線を後ろに向けた私は荒く息を吐く彼女を見つめた。



「――大丈夫ですか。ホタルさん。」
「―――あ、はい。…ごめんなさい。無理してついてきちゃって…」
「大丈夫ですよ。―――私もあなたがいたほうが心強いですし。」



笑顔を浮かべ、視線を前に向けた私は目の前で走ってくる兵に斬りかかる。影分身で守らせるホタルさんの気配を感じながら、長く上に伸びる階段を登っていた私は目の前に見えた扉に目を細めた。







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