星屑の欠片

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―――花の国の調査報告。


狂言花とは、人間の生命エネルギーを乱らせる効果がある。その効果によりたいていの人間はもがき苦しむ痛みと快感を得る。
その花を管理する一族――不鬼一族は花の国のトップ、ヒルガンの手によって破滅。今は、二人の生き残りが生存。
ヒルガンは国を発達させるために、特殊な能力を持つ不鬼の一族の人間を使い、邪魔な人間を始末していた可能性があり。
―――不鬼一族・狂言花の使用が彼の私欲と分かり、交渉を求めたが、己の欲が通じないことが分かると崩れかけた塔の上より飛び降り自害した。
今花の国は、不鬼一族と国に住む人々で国の再生に力を入れている。









「――――…サンプルは持って帰ったか。」
「―――はい。これです。」


袋にいれたそれを綱出様に手渡した私は、青と白のまだら状の花を見つめ唇を尖らせた。


「―――珍しい花だな。」
「―――ええ。その花は不鬼一族にとって恋草花と言われているみたいです。」
「―――こい…そう…ばな?」
「―――はい。」



好きな人に渡す花みたいです。



私の言葉に頬を赤らめた5代目様は「ロマンチストな花だな」と声にする。―――少し気恥ずかしかったのか、照れ隠しのように咳払いをした。



「―――長い任務、お疲れだった。…三人にはしばらくの休暇を与えよう。」
「―――は。」



彼女の言葉に頷いた私は、火影室から出る二人に続いて歩みを進めた。












―――――――――







×イルカ視点




「―――日比谷の隊、戻ってきたみたいだぞ。」



綱手様にアカデミーの書類を手渡しに行った俺に向けられたのは待ちに待った彼女の帰還で。
嬉しさとあのまま別れた彼女との気まずさと何故帰ったんだという疑問を抱えながらも、己の足は里の中へ向かっていて。
息が荒れ、呼吸が早くなる。




―――日比谷の家に向かったが、そこには誰もいなく。
家に戻っていないと気付いた俺は綱出様の言葉を思い返していた。



―――今回の里外の任務は。
確か同期のキバとヒナタが一緒だったはずだ。
そう思い返しながら、次に俺が足を向けたのはヒナタの家。



「―――い、…イルカ先生。どうしたんですか?」
「―――すまん。任務終わりに…。日比谷、家にもいないみたいなんだが…どこに行ったのか分からないか?」
「―――え。」



不思議そうに眼を丸めた彼女はしばらく黙り込んだ後、小さな笑みを浮かべた。
おとなしい彼女が向けた小さなサインに目を丸める。



「―――…多分、イルカ先生なら絶対、分かるところですよ。」
「―――え。」


彼女の視線に―――己の気持ちが見通されていると感じたのは気のせいだろうか。
ヒナタの意味深な発言に首を傾げながらも頷いた俺は踵を返し、走り出した。



―――ヒナタのヒントを元に、俺は里中を駆け回った。―――彼女と歩いた道、入ったお店、最後に言った夏祭りの神社。
想い出がある場所にいない彼女は――どこにいいるのだろう。
数時間走り回った俺の体力はすでに限界で。
最後にイルカが足を向けたのは、己の住むアパートだった。













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