全てが優しい世界に満ちて
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―――たとえば、
この世界のどこかで自分を見守ってくれる存在がいたのなら。
私は少しでも変わることができていたんだろうか。
―――ナルトという世界に生まれ変わっての己は、家族と言う存在を早くから失ってしまった。けれども、一人の心配性な己の師との出会いで彼女と家族と同じほどの強い絆を自分は得てしまう。
そして、歩みを進めるたびに出会った同期の仲間と自分と同じ運命を持った少女、日比谷に出会うことで私は二度目に生まれ変わったこの世界で歩いていくことを決意したんだ。
―――だからこそ、信じられなかったんだ。
(―――何が神様よ。)
任務で負った怪我により失った意識が覚醒した場所が自分が生まれた日本と言う故郷であるが、全く異なる場所であったことを。
―――己自身が受け入れるのは、酷く時間がかかるものだった。
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――――ゆっくりと意識が浮上する感覚。
それを身体で覚えながら、瞼の裏に入り込んだ光に顔を顰めながら、起き上がった私はクリーム色の天井を静かに見つめた。
(―――ここ…どこ?)
病室に寝かされているらしい自分の今の状況を呆然と捉えながらも、ゆっくりと視線を動かしていた私は腕にある点滴の存在に息を吐く
(―――あれから助かったのかな…。敵に斬られるなんて情けないことをしたなあ…)
脳裏に蘇る年下の少女の泣き顔に胸が痛みのを感じながらも、ゆっくりと瞼を下ろした私はチャクラの感覚を確かめるため、意識を集中させた。
「―――あれ。」
己のチャクラの感覚を確かめながら、周囲のチャクラを感じ取ろうとしたが、それは余りにも小さな感覚ばかりで。
―――嫌な胸騒ぎを覚えたためか、冷や汗が流れるのを感じながら、起き上がった私は痛みに耐えながら、ベッドから降りた。
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