全てが優しい世界に満ちて

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「――エミさんのチャクラはさ。日比谷と同じ感覚がするってばよ。」


「―――は?」



木の葉病院。年下の少女、日比谷も務めるその病院で彼女の患者にあたる金髪の髪を持つ彼を見つめた私は口を開いた。


「―――そう…なのかな。」


「―――何となくってばよ?
でもやっぱり似てねー。

だって、日比谷は意地っ張りだけど。

エミさんはさ、不器用だけど相手を大切に思う…みたいな感じがするし!」




「―――日比谷……怒るよ。」



彼女の黒眼がゆっくりとつり上がる様子を簡単に想像できた私は目の前にいる少年を見つめたまま、瞳を細めた。






―――貴方は、弱くない。他人には見えない強さと優しさがある。ただの子ども。我慢屋で不器用な女の子です。
だって、その証拠に貴方のチャクラは人を癒すことができているんだから。






―――昔、盗賊に襲われた自分を助けてくれた師の背中とその言葉。
それは確かに己の心の臓に深く刻み込まれている言葉。





(―――シズネ師匠。日比谷。)




―――冬空の下。傷ついた私を助けてくれた小さな少年の言葉。世界に絶望し、嗚咽を溢した私を支えてくれた彼の見えない優しさ。




(―――北村…ユウ。)






私は、7年前のあの日、決めたのだ。
このチャクラを生かせる限り、この世界で戦うことを。そして生きていくことを。














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