全てが優しい世界に満ちて

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「―――よしっと、これで終わり。」



最後の一冊を仕舞い込んだ私は小さく欠伸を溢した。―――全く、忙しい仕事だ。



―――瞬間、鳴り響いた警報に目を見開く。



『―――警備より入電!良化特務機関が、当館周辺に警戒中!』



(―――まじか。)



小さく息を吐いた私は、戦闘用の服に着替えるために更衣室に足を向けた。








―――――――――



「―――よっと。」



着替え終わったと同時に、一つに結っていた髪を下ろした私は小さく息を吐いた。
チャクラの感覚を体内で練りながら、足を進めていた己の脳裏に蘇るのは、先ほどの庭に集合するように伝えてきた堂上教官の言葉で。


廊下を走っていた己の視界に入って来た人物に思わず目が開くのを感じた。




「―――郁。手塚?」
「エミ!急いで館長室に行くわよ!」
「―――な、何で…さ…ってわあ!」



己の腕を掴みながら走る郁の姿に身体の向きを変えた私は歩みを進めた。



「―――で、どういうことよ。」
「―――良化隊は館長室にある本を根こそぎとるみたいなの。柴崎が言ってたわ!」
「…そ。」




―――と、いうことは今回の件は。彼らの罠




「――でも、珍しいよね。」
「え、何が!?」
「手塚も一緒に来るなんてさ。」




深緑色の隊服に身を包む彼の表情は相変わらず笠原へ呆れた視線を含んでいるもの。
それを横目で見ながら、足を速めた私は神経を研ぎ澄まし、周辺の気配を静かに読み取る。




(―――敵は4人。チャクラの量は一般人と変わらないけども、…武器を持っていることは変わりないよね。)



先を走る笠原と手塚の背後で気配を読み取っていた私は扉の前に座り込んだ彼らと同じ動作をした。
ドアに手をかける笠原の緊張した表情を見つめながら、彼女の肩に触れた。


















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