全てが優しい世界に満ちて

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図書隊の寮は基本ルームシェアである。だが、私が入所した部屋は基本一人部屋らしく。だれもいない静かな空間を感じていた私は、鳴り響いたドアの音に目を丸めた。






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「―――生きてるか」


「―――まあ。」



扉を開けた先にいる北村の顔に返事を返した私は都と同じ背の彼を見上げた。
―――つくづく思うのだが。



「―――北村ってさ。」
「ん、何だ。」
「―――彼女の一人や二人くらい作ればいいのにー。顔は良いんだからさ。」



―――よくよく考えると彼は女性隊員から酷くモテているらしいのに、彼女はいないらしい。


その反対、一人でいる私の元にはよく来るのだが。




「―――お前には関係ないだろ。それより、飯は食えているのか?」
「―――まあ、食ってるよ〜…。」
「…そうか。もし良かったら、やきそばを作ったんだが食うか?」
「―――有り難くいただきます。」



小さく頭を下げ、彼を寮の部屋に案内した私は机に広げたままの資料を仕舞い込んだ。
男女がいる部屋。見つかったら、何か言われるかもしれないのだが、彼と己の関係にはそんなこと関係なく。
カーペットに座り込んだ北村の姿を見ながら、資料に再び目を落とす。





「―――何だそれは。」
「図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)の隊員の顔と特徴を一通り頭の中に入れてたところ。…私の役目は、隊員の治療を優先しつつ、戦前で戦うものだからさ。」



―――勤務の仕事も覚えないといけないしね。



そう言って笑った私の視界に入ったのは、無表情の北村の顔。ただその表情がどこか己を見つめて少しだけ心配そうな色を含んでいるのを感じて。




(―――まあ、気のせいか。)



そう考え、彼が用意したやきそばに手をつけた私は無言でそれを食べながら、資料の内容に意識を集中させた。





「―――――あほ。」





神経を資料に向けている私の顔を見ながら、辛そうな表情で声を落とした北村の言葉にはきづかなったけど。
















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