全てが優しい世界に満ちて

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「エミ…筆記試験ダメだよおおお」

昇任試験に悲鳴を上げる笠原と同じく。
悲鳴を上げながら頭に叩き込んでいた私の悩みは一つ。


卓上にカレンダーにつけた丸に頬を引きつらせた私は、慌てて首を振った。
いけないいけない。
――集中だけは、昔から取り柄なんだから!


資料に視線を落とし、再び集中した私の姿に郁の視線は、カレンダーと傍に置いていたカフェの雑誌に向けられていて。
顔を赤くし、いつもと落ち着かない私の姿に。

北村ユウとお出かけするのだと誤解していた彼女の行動が


後にとんでもないもの展開へ巻き起こすもの出ることを。

私は知らない。




――――――――――――――



「……よし」


簡単な私服に着替え、鞄を持った私は資料を鞄にいれ、待ち合わせの場所に足を進めた。


近場の駅に立っている彼の姿は、容姿によるものもあるのか。
周りの女性を引き付けていて。
そいつ、鬼畜ですよと心の中で反論した私は、手を上げた。


「待ったよ〜。じゃ、行こうか。」
「…早く済ませてくださいよ。」

憂鬱な気分のまま、彼の後をついていった私は見覚えのある街中をゆっくりと歩き始めていた。












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