全てが優しい世界に満ちて

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―――満たされた気持ちは己の心を優しく包んで。
ふと目が覚めた私の視界に入った姿に顔を赤く染めた私は、穏やかな寝顔を見せた彼の姿を見つめた。


――――北村ユウと出会ったのは彼が15の頃。自分がナルトの世界で17という年に迷い込んだ世界で初めて会ったのだ。

血塗られた己の世界は私のとって大事な仲間がいる場所で。
絶望し、この世界に来て迷ったことに悔しさと悲しさに―――涙を零した。
それでも、見守っていると言った彼の言葉と不器用な優しさに――この世界で生きることを決めたのだ。


「―――ッ…」


腰を襲った痛みと倦怠感に悲鳴を上げ、顔を赤く染めたまま下着に手を伸ばした。


元医療忍者である私が―――この世界に生きていくために。一度は失った職業の勉強を始めて7年後。
出会った彼は幼さを残す顔立ちから男らしくなっていた。元々端正な顔立ちだった彼の顔は美形の分類で。癖毛の強い黒髪に垂れ目の黒の眼は――己を見守る穏やかな光の形を変えていなかった。


―――色々とあり、元の世界に戻ってしまった私を迎えにきてくれた彼は。
改めて私への特別な想いを告げ、親の元に連れていったのだ。
―――それからは、今までの関係が嘘かのようにお互い素直になることが多くなった。



北村ユウという男は、ぶっきらぼうで、冷静でマイペースだが、少しだけ強引な所があるらしい。己が言いくるめられると嬉しそうに笑う彼の笑顔に私は一つの答えを出したのだ。



―――こいつ、ドエスだったわ。



「―――体、大丈夫か…?」
「ひ…!」



お互いを必要としていると改めて―――私が北村という存在が大切なのだと気付いた。
そして北村は―――私の存在を求めることが多くなったのだ。
気持ちだけじゃなく――このような関係になったのも、ここ最近の話だが。


「―――ちょ…ビックリさせないでよ…!」

背中に触れた彼の手は相変わらず冷たくて。
腕を掴んだその動作に思わず倒れてしまった己の身体を包んだその腕に目を丸めた。


「―――悪い…。途中で自制が効かなくなった…」
「―――!は…恥ずかしいから言わなくていいから!…って、ん…」

己の真っ赤に染まった顔を見下ろし優しく唇を重ねてきたユウの姿に鼓動が高鳴り胸が締め付けられる。
開けた視界に入った彼の前髪は汗ばんだ額に張り付いていて。優しく己を包むそのキスに瞳を閉じた私は―――朝だというのに始まったその行為に、ゆっくりと体の力を抜いた。













彼と住み始めたこの家も、

基地から離れていない場所を選んだ大切な居場所で。

余裕のない色を浮かべたユウの顔を見上げながら私は、心臓を覆った愛おしいという感情に唇を噛みしめた。










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