見上げた空は青かった。
□1 それは、神様のイタズラ?
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冬にしては、暖かい風を感じて私はゆっくり目を開けた。
起き上がると同時に全身に痛みを感じる。
「痛っ……」
ふと、周りを見渡せば一面の木々と、目の前にある可愛らしい木の家。
「ここ、どこ…?」
ぽつり、と呟いた言葉と同時に隣で意識を失っていたユズが起き上がったのはほぼ同じだった。
01
それは、神様のイタズラ?
おかしい。確かにさっきまで家の前にいた。孝に見送られて家を出たはずなのに何で自分はここにいる?
(…まさか、夢?)
いやいや、おかしい。家の前で眠りつくなんてどれだけ私は眠たいのだと思われてしまうし、第一ありえない。昨日は寝るのが早かったし、それ以前に自分は外で寝るほど、そこまで怠けていない。
「……でも、何で?」
目の前の現実を受け入れようと、生唾を飲み込んで立ち上がる。自分の次に立ち上がったユズが警戒の色を浮かべたのに気づいて、不安を覚える。
「…ユズ?」
ぐるる、と小さく低い唸り声を出して森を見渡す相棒の姿に私も身構えた瞬間、背中に衝撃を受け、身体が再び地面に転がる。
「痛っ……!!」
本日二度目の転倒。
衝撃を直接受けてしまったために、打ち所が
悪かったのか、腕に痛みが走り顔をしかめる。
( もう、何なの〜!)
捻挫ではないように、そう願いながら再び立ち上がる。ふと、相棒の姿がないことに気づき振り返った自分の視界に写ったのは、くまのぬいぐるみを口に銜えているユズの姿だった。