見上げた空は青かった。

□4 全力疾走
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「はーい。静かにしてください、皆さん。今日は珍しく転校生が来てくれましたよ」



ちゃんと、話を聞くように。



必死に生徒に訴えかける野田先生の声に、彼の存在を気づいた生徒達は、教卓に視線を向けた。先程まで、ガヤガヤと雑談をしていた教室の騒がしさが、ピタリと静寂だけを包む空間になる。




(…切り替え、早っ)





野田先生の隣に立ちながら、落ち着いた雰囲気を出す生徒達の様子を観察する。さすが、学園という籠の中で成長してきただけはあるな、と心の中で呟いて、再び野田先生に視線を向けた。









「彼女は、この学園に来てまだ日が浅いので、色々と分からないことだらけだと思いますので仲良くしてくださいね。…まあ、詳しくは本人に聞いてみましょうか。」





「…へ?」




急に、話を振るんですか!

心の準備ってのを知ってるでしょ!
野田先生!


なんて、私の意見など聞かぬであろう野田先生を睨みながら、自分を見つめる生徒達を見て口を開く。



「木村エミと言います。…よろしくお願いします。」







自分を見つめる生徒達の視線の威圧感に緊張するのを感じながら発した言葉は、単純すぎる自己紹介と挨拶だった。














4 全力疾走







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