見上げた空は青かった。

□5 まだ見えぬ先
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「へー、新しい子入ったのか。」



言葉を発した男性は私の顔をじっくり見た後、
視線を上から下に落とし、再び上に向ける。





「…何ですか。」




初対面の相手をこんな風に見るなんて、最低というか常識がないというか。




肩まであるストレートの黒髪を掻きながら、再び息を零した男性は、驚いた表情で私の顔を見る。

余りにも真剣なその表情に、緊張から心拍数が上がった。



(…さっきから何なの?)



鳴り響く心臓の鼓動を感じながら、吐き出される男性の言葉を待つ。





「…新入生。…お前、Bカップだろ?」



「へ?」





彼―、殿内が零した言葉はあまりにも情けないものだった。







No.5


まだ見えぬ先






「エミは向こうに行こうか。」




「え、なんで?」




素早く飛んできた翼と美咲の拳を直接受けた殿内を横目で眺めながら、干からびている彼の横を通り過ぎる。素早く私の掌を取り、非難させようと行動する美咲に着いて行きながら、ふと、気付く。





「…あれ?新入生って私だけなの?」




気になった疑問を口にした途端、怪訝そうな表情を浮かべた特力のメンバーが私に視線を向けた。



まるで、何言ってんの?と声を揃えそうな勢いだ。





「何言ってんの、エミ。アンタが、初めてに決まってるでしょ?」




想像した通りの言葉は、確実に私に向けられていた。




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