君はトランキライザー

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大抵物語の主人公は、特別な才能を持っていたり、特殊な力を持っているのが王道だ。勿論、私の目の前にいる少年、ゴン・フリークスもその一人で、この山で野性児のように飛び回るなど見るところ、ハンターとしての素質も多く備えている青い果実なのだろう。
―――そして、関わるにつれ彼の特徴を理解した私は一つの大きな人物像を捉えた。
ゴンはきっと世間知らずな所が多く存在すると思う。
否―――言い変えるとすると彼は恐らく、天然なのだろう。世間知らずも含め、天然という特徴でこの世界を生きていくのだと思う。

以上が、彼に対しての私の見解である。


「――へ〜…アキナさんはエミの師匠さんなんだっ!」

きらきら。そんな効果音が聞こえてきそうなほど、目を輝かせているゴンの言葉に視線を逸らしながら頷いた私は、視線を逸らしながら苦笑を表情に浮かぶのを覚えた。
ミトさんのもとに来たアキナさんは、この山でしか存在しないという生き物を採取するため、現在は席を外している。尚更外の世界から来た私とアキナさんはこの目の前の主人公には興味の対象らしく。色んな事を聞く彼に言葉を返していた私は、彼の部屋にある一枚の写真に目を丸めた。何かの民族衣装で身体を多い、地面に座り込む青年の写真。
――ジン・フリークス。ゴンの父親だと気付いた私の視線を追った彼は、私の興味の対象を理解したのか。嬉しそうな笑みを浮かべたまま、『あれは、親父なんだ』と声を発した。どうやら写真の人物を紹介してくれるらしい。

「――お父さん…?」
「ああ、俺の親父っ!ハンターって仕事をしてるんだっ!――俺も、12になったら、親父が目指したハンターになるために試験を受けるんだっ!」
「―――へ〜…」

―――それを、ミトさんの前で言うのは止してくれよ。ゴンくん。彼女、発狂?するから。






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