君はトランキライザー

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「――ここ、トリックタワーが三次試験でございます!ルールは簡単、生きて下まで降りること!制限時間は72時間。――それではスタートッ!」



豆のような顔をした人物が発言した内容を聞きながら、唇を尖らした私は思考を巡らせた。


―――仕掛けは、気づいている。
だけども、――中に入ってからが問題なのだ。



(――私…生きれるかなあ…)


根っからのチキンハートの己が潜り抜けれるかと悩んでいた私は腕を掴んだ感覚に目を見開き振り返った。朝日を浴びる彼の金髪が輝いてい様が視界に入るのを感じながら目を細め、声を落とす。


「――本当、どうしてイケメンとか美形って奴は朝日の力を借りても尚美しく見えるのか、良く分からないわ。おばさん。」

「―――何を言い出すかと思えば、それか。エミ…。昨日の夜、私たちの所に姿を見せないから心配したのだぞ?」
「――そうだぜ、エミ。ここは男がうじゃうじゃいるんだ!お前はもう少し危機感持った方が良いぜ!」
「――――そんなこと言うレオリオの傍には行きとうありません。」




私の言葉に冷静な対応を繰り返すクラピカと正反対にジョークを言うレオリオの姿に声を発した私は自然と笑みが零れるのを感じた。
何を言っても、この四人の空間は打ち解けあっているから酷く落ち着く事が多い。



――視界の先ではゴンとキルアが出口を必死に探しているようで。それを横目で見ていた私は何かに気づいたのか、手を振った彼に視線を向けた。



―――どうやら、仕掛けに気づいたようだ。












「―――こことここ…あとそっちに三つあるよ!」


ゴンの指した場所に各自足元を近づけたのを横目で見ていた私は静かに歩みを進める。


「―――こんなに近くに五つもあるなんて…なんともうさんくさいぜ。」


「――このうちのいくつかは罠かもしれない…」


―――表情に警戒を浮かべた色を示したクラピカとレオリオの言葉は妥当だったけども。
進まなければ、何も結果は得ることはできないと考えた二人は、ゴンの呼びかけにて扉の選択順を行う。じゃんけんという選択方法は緊張感の欠片も無かったけども。


「――じゃあ、一・二・三で行くよ。」

ゴンの言葉と共に表情が強張る四人を見ていた私は小さく息を吐いた。
どうやら、始まるようだ。


「――ここで一旦お別れだ。」
「また地上で会おう。」
「――ああ、」
「―――ほい。」
「………じゃあ、行くよ。一・二の三ッ!」

掛け声とともに己の身体が空中へ舞い上がる瞬間、足元は確実に扉の底へと落ちていって。視界を覆う暗闇の中、電光のような明りが眼を刺激した瞬間、広がった視界に入ったのは顔を見合わせ苦笑するゴンとキルア、そしてクラピカとレオリオの表情で。
立ち上がった私は、部屋の隅に置かれたものに視線を送った。――あれは、確か…



「――クラピカ、レオリオ。あれは…」
「――…多数決の道?五人はこれから多数決を行い道を決めていくしかない…か。」


そう呟いたクラピカの声とともに五つのリングがあるのに気づいた私は、タイマーだと発言したキルアの言葉に顔を上げた。
――これをつけないと先には進めないらしい。



与えられたタイマーを腕につけ、時計に視線を向けた私は与えられた時間を呟いたクラピカの言葉に唇を噛みしめた。



瞬間、開いたドアの先を歩きだす四人の後を追い始めた私はゆっくりと歩みを進めた。
















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