魔界図書館
□お花見○○ツアー
1ページ/3ページ
「お花見○○ツアー」
今日はいい天気になりそうだ、事務所で一日過ごすなんてもったいない。
どこか出かけたいなと思いながら、休日の朝にもかかわらず事務所への道を急ぐ。
お弁当を持ってピクニックもいいなと思ったが、以前の瘴気ピクニックを思い出してしまい、私の中で速攻却下された・・・
まあ、ネウロと一緒に居られるだけで幸せなのだから何処に居ても同じだ。
贅沢は言うまい。
「おはよう!ネウロ。あかねちゃん」
「おおヤコ早かったな今から貴様を迎えに行こうと思っていたところだ!」
ネウロはジーンズに黒いシャツというカジュアルな服装をしていた。
しかも、休日の朝なのに事務所には吾代さんまで来ている・・・
「さあ、花見に行くぞ!」
「・・・桜は終わっちゃってるよ?」
私の言葉にネウロは呆れ顔になる。
「…貴様の頭は本当に豆腐で出来ているのだな…」
「失礼な!」
「まあ良い、話は車内でだ」
私はネウロに頭を掴んまれ引きずられて車に放り込まれる…
「もう!一体何処に行く気なのよ!」
「花見だと言ったであろう?」
「だから、桜は終わってるって!」
ネウロは盛大なため息を吐きながら哀れみを込めた瞳で私を見る…
「…それは関東の話だ。北に行けばまだまだ見頃だ。それに、桜を見に行くとは言っとらん!」
「ETCも千円になったことだしな。吾代の新車の乗り心地を確かめるには丁度良い。」
…吾代さんごめんね…
この車はどの位持つかな…
車は首都高から東北道に入り北を目指した。
途中ネウロに頼み込んでサービスエリアに寄ってもらいお弁当とおやつを買い込む。
やっぱりお花見にお弁当は欠かせないよねv
吾代さんも何処に行くかは知らないらしく、高速を降りてからはネウロの道案内(?)で一般道を走るが、とどんどん山の中に入っていく…
…大丈夫だろうか? でも、車は多いんだよね…
後部座席でおやつを食べていると
「おっ、すげぇな…」
吾代さんの驚いた声がした。
吊られて顔をあげて前を見ると…
目の前に色とりどりの花で覆われた山が見えた
「…凄い、綺麗…」
「アカネがネットで見つけたのだが、なかなか見事だな…」
あかねちゃんも見入っているようだ。
「では、花を見に行くぞ」
あかねちゃんの話によると「個人所有の山だけれど、無料で一般の人に開放して散歩コースがある」そうだ。
…ネウロは花を見ているとは思えない速さで歩いていて、私と吾代さんは付いて行くのがやっとだ…
今日の服装がパンツにスニーカーで本当に良かった…これはちょっとした山登りだよ…
「…ハアハア・・・ネウロちょっと休ませて…」
花見弁当はおろか、水分補給をする間も無く歩かされてもうバテバテだ・・・
まだ4月だというのにこの暑さは堪える・・・
「時間が無い、後で車の中で休め! 早く行くぞ。」
私の提案は見事に却下され、花の山とその周辺を歩き続けた・・・
「・・・疲れた・・・探偵、なんか食い物くれ…」
吾代さんにお茶のペットボトルとおにぎりを渡してあげる。
「サンキュー、これで少しは生き返る…」
吾代さんが一息つこうとすると
「次に行くぞ、吾代早く車を出せ。」
「おいこら、少しは休ませろや!」
吾代さんがネウロに文句を言う…
「食うなとは言わん、走りながらでも食えるであろう?時間が無いのだ早くしろ!」
吾代さんは渋々車を出した。
ごめんね吾代さん、私は心の中で誤りながら後部座席でお弁当を食べ始めた。
.