魔界図書館
□卒業
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「卒業」
今日は高校の卒業式だった。
あの、壊滅的な成績にもかかわらず、昨日まで毎日補習を受けることを条件になんとか卒業することが出来た。
むろん、ネウロに何度も邪魔されたが、卒業が掛かっていてはこちらも折れるわけにはいかない。
「ヤコ、もうその制服を着ることは無いのだな…」
「そーだよ。なんとか卒業できたんだもの…でも、もう着ないとなるとちょっと寂しいね…」
「そうだな…ヤコ、今までご苦労だった。女子高生探偵も卒業だな。」
「えっ?」
…今…ネウロはなんて言ったの?
ネウロが私を労わる言葉を言ってるけど全然耳に入らない…
「正直、貴様の制服と女子高生探偵の肩書きが無くなるのは痛いが…」
「ヤコ?」
私の瞳からは涙が溢れいくつもの跡を作っていく…
「・・・・・・」
言葉が出ない…
どういう意味?
女子高生じゃない私は要らないの?
「そんなに女子高生が良いんだ… 解ったよ、もう、私のことは要らないんだね。…あんたが助手モードで声を掛ければ大概の女の子は落ちると思うよ…」
「ヤコ?」
「ネウロの馬鹿! 大っ嫌い!」
私は事務所を飛び出した…
「・・・・・・」
いきなりヤコが泣き出したかと思ったら、突然訳の解らん事を言い出し飛び出して行ってしまった…
「あかね、なぜ我が輩がヤコ以外の女を口説く必要があるのだ?」
全く解らん
『あの、ネウロさん。もしかしたら弥子ちゃん女子高生でない自分がネウロさんにとって必要無い存在だと思ったのでは?』
「なぜそう思う?」
『ネウロさんがしきりに「女子高生探偵を卒業」と言ったからだと思いますが』
「事実ではないか。ヤコなりに努力した結果だ。」
嬉し泣きするなら解るが何故怒り出すのだ?
『…たぶんですが、弥子ちゃんはネウロさんが「女子高生」というカテゴリーが好きなんだと勘違いしたんだと思います。』
Σ( ̄□ ̄)!
「…人間の考えることはやはり解らん…」
しかし、早急にヤコの誤解を解かねば…
「あかね、ヤコを連れ戻してくる。」
『行ってらっしゃいませ!』
あかねのおさげが揺れるのを目の端で確認し、我が輩は窓から跳躍した。