魔界図書館
□ぷち・ハネ
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<ぷち・ハネ>
「ヤコ、週末の5連休は探偵業も兼ねた旅行に行くぞ!」
「え?…私、受験生なんですけれど…」
ってか、今日はもう水曜日なんですけれど…
冬のスキー旅行以来ネウロは連休の度に旅行に行こうとする…
春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、そして今回のシルバーウィークだ…
本来ならお母さんが反対するのだと思うけれど、お母さんのネウロへの信頼は厚く…もう「公認の仲」になってしまっているようだ…でも、これってどうよ?
「安心しろ、貴様の受験勉強は我が輩がみっちりと見てやるぞ。」
「…ありがとうございます…」
どうせ無理やりにでも連れて行かれるのだから素直に従った方がマシだ。
まあ、それなりに楽しいし、美味しいものは食べられるし、ネウロも旅行の時はなんだか優しいし(DVは勿論有るけれど…)断る理由は特に無い。
強いて言えば「受験大丈夫かな?」といった心配ぐらいだ…
「で、今回は何処に行くの?」
「ここだ!」
ネウロから1枚のFAXを見せられる
『シルバーウィーク限定カップルプラン
秋の夜長を愛する人と二人で過ごす3日間』
「・・・・・・」
またこのオチ?
「遙からだ。」
「え、お母さんから!?」
「なんでも旅行に行くはずだった人間が急に行けなくなったそうだ。是非我が輩とヤコで行って来いと電話が来たぞ。」
年頃の娘に男との旅行を勧めるなんて…我が親ながら一体何考えてるんだか…
しかも、「カップル限定」とか「秋の夜長」って何よ!?
如何にもその為のプランみたいじゃん!!
もしかしてスキー旅行の二の舞?
「たまたま謎の有りそうな依頼も来ていたしな、丁度良いであろう?」
正直気は進まない…
でも、秋の味覚も捨てがたいし、何より私とネウロの間に『何かある』訳も無い…
実際、今までの旅行も子供の悪戯程度のセクハラはあったけれど、その…キス…とかもしてないし…
はっ!! これじゃまるで私が物足りなく思っているみたいじゃない!!
「ヤコ?」
「はいー!?」
「…なんだその声は…」
思わず声が裏返ってしまった…
「あはは…」
こういうときは笑って誤魔化すに限る。
「まあ良い、貴様のことだ大方食い物の事でも考えていたのであろう。」
「うん。○○温泉って旅番組でも取り上げられてるし、楽しみだなって。」
「貴様は秋の味覚を、我が輩は謎を食せる。まさに一石二鳥だな。」
まあ、ネウロも楽しみにしているみたいだからいいか!
あかねちゃんも一緒だしね。
「え?あかねちゃん行かないの?」
『ごめんね弥子ちゃん…私が通っているサイトの管理人さん達とチャットの約束しちゃってたの…』
「ううん、いいんだよあかねちゃん。残念だけど、また今度一緒に行こうね!」
『うんv』
あかねちゃんは行けないのか…
一抹の不安はあるけれど、仕方ないか。
さあ、行くとなれば早く用意をしないと!
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