雨のお品書き
□骸さんとボンゴレリング
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*骸さんと霧のリング*
骸さんは、満面の笑みで綱吉君の手を握った。
「沢田綱吉君!キミのお陰で、僕も無事釈放してもらうことが出来ました!!」
あれ?こんなキャラだっけ、六道骸って…。そう、ボンゴレファミリーの若きボス、沢田綱吉は思ったが、あえて言わなかった。
「あ〜、時間は掛かったけど、出れて良かったね」
「ええ。色々誓約書を書かされましたがね。クフフフフ」
ボスに就任してから様々な手を使い、綱吉は骸の減刑を願い続けてきた。幹部の一人、獄寺には止められ続けたものの、とうとう釈放まで持っていったのだ。
釈放の条件として、骸に数々の制約を与えた上で、ボンゴレファミリーでその後の彼を責任持って更正させる…というものが課せられてはいたのだが。
「じゃあ、わかってると思うけど、一応うちのファミリーの目の届く範囲にいて欲しいわけなんだよね」
「このご恩、わが身を持ってお返ししますよ。さあ、クローム、霧のリングを渡しなさい」
「…ダメ」
満面の笑みで、綱吉の後ろに控えていたクロームに手を差し出す骸は、完全に拒否された。
「沢田家光が霧の守護者を依頼してきたのは、僕ですよ!」
「でも、これは私の。……ボスの守護者は私」
「クローム、確かにキミは今までよくやってくれていたと思います。でも、僕が戻ってきたんだから、譲りなさい」
「…ボスがどうしてもって言うなら、そうする」
なにやら高圧的な骸と、静かに応戦するクローム。綱吉をはじめ、その場にいた幹部たち全員が困惑した表情を見せた。
「10代目、あ〜、どうします?」
「困ったよな〜」
「いっそ、半分ずつにしてしまってはどうだ?」
「どっちでもいいよ」
「レディにお譲りするべきでは?」
「ですが、親方様のご意思は…」
「はい、静かに。骸とクローム以外、席を外してくれる」
外野の意見が飛び交うと、まとまる話もまとまらない。綱吉は、早々に必要最低限のメンバーを残し、退出させてしまった。