雨のお品書き
□穢れない雪のように…
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ボスの側近。
なぜか、自然にそのポジションに収まっている自分がいた。
空はどこまでも青く、まるで貴方の門出を祝っているようだった。
あの日、正式にボンゴレファミリーの総ては後継者に受け継がれ、自分は変わらずその方の傍に仕えることを許された。
思えば、本来はファミリーとは距離を置き、要事にその姿を見せるのが門外顧問の者としての在りし姿だったはず。でも、あんなに居心地の良い場所を捨てても余りあるほどの幸福が、この場所にも存在した。
自分が望み、あのお方も望んでくれたから、今ここにいる。
ボスの守護者であり、ファミリーの幹部でもあるのは、あのリング争奪を戦ってきた方達だ。どうしてなのか、あのお方の一存で、全く同じ扱いを受けている。いや、見方を変えればそれ以上。
イタリアに渡るまでは、一歩下がってお守りするのを使命としていた。はっきりと変わったのは、イタリアに来てから。本格的に引継ぎが始まってからのことだ。
まず変わったのは、ご友人方との距離感。常に共に行動していたあの方々と、まず線引きをなさった。ボスと部下という関係を、ハッキリさせるための表れというように。その時から、自分がお傍に控えることが多くなった。仕事の時は、常に隣にいることを求められたから。ご友人方には申し訳ないが、とても名誉なことだと思ったし、嬉しかった。
守護者の証も持たない自分が、貴方自身に認めていただけたのだから。
ボスの執務室の鍵を渡されたのは、自分と昔からの家庭教師の2人だけだという。まさか、あの人と同列に見ていただけているとは思わないが、必要とされているのは本当だろう。
求められること以上の働きをしようと、努力した。