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□愛しい時間
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『愛しい時間』






「ゾーロッ」



呼びながら、マストに凭れかかって静かに寝ている大好きな人の正面にしゃがみこんだ。
穏やかで可愛い寝顔が、あたしの声か気配に気付いたのか、ぼんやり目を開けてゆっくり瞬きしている。


そんなゾロの唇に、あたしはチュッと口づけた。

あんまり無防備なゾロが可愛くて。

その顔にものすごくキスしたくなった。



ゾロはびっくりしたのか、瞬きは止まり目がぱっちり開いてる。
なんだかそれが酷く可愛らしくて、笑みがこぼれた。



「なんだよいきなり・・・」


気を取り戻したゾロはそう言いながらも、苦笑してあたしの髪をくしゃっと撫でる。
その手は温かいのに、指先は意外にも冷い。




「キスしたくなっちゃった。
 ・・・なんか寝てるとこ見たら可愛くてさ。そしたら凄くキスしたくなって・・・
 ちょっとびっくりさせちゃえって、起きた瞬間にしてみたv」

「なんだそれ…。」

「ウフフフ・・・・v」



ゾロはちょっと困ったように笑って俯く。
ゾロのこんな表情が凄く好きだ。
あたしにだから見せてくれる優しい顔。
ソロのこんな顔を見ると、堪らないくらい幸せがこみ上げてくるんだ。



「さて、そろそろおやつの時間だし行くかな。」

「・・・もう、行くのか?」

「ん、ゾロのびっくりした顔も見れたし、不意打ちキスもできたし、満足!」

そう言ってあたしは立ち上り、歩こうとしたけど



「ナミ」



ゾロの呼ぶ声に振り返った瞬間



「きゃっ・・・!」



クイッと腕を引っ張られ、ゾロの脚の上に横向きに座らされた。
ゾロはそのままあたしをギュッと抱きしめて



「ちょっ、ゾ…ん!!・・・んっ・・・・・ふっ・・・」



先程とは比べものにならない程深い熱いキスをした。



―――やられた。完全に不意打ち。



激しいけど優しいキスは、あたしをどんどん溶かしていく。
力が入らなくなってきた頃、やっと唇を離したゾロはとても満足そうに微笑んだ。
あたしはいっぱいいっぱいなのに、なんでゾロはいつもこんなに余裕なんだろう?

ぼうっとしていると、ゾロが口を開いた。



「キスされたらさ、もう少しお前と一緒に居たくなって・・・・
 ついもっとキスしたくなった。」



思いがけないその言葉で、ただでさえキスで赤くなったるあたしの顔はすます真っ赤になる。
そんなあたしを見てゾロはニヤリと笑い、ゆっくり抱きしめた。



「びっくりしたろ?」

「・・・びっくりした。。」



ゾロがあんまり嬉しそうに笑うから、なんだか嬉しくなってあたしも一緒に笑った。




昼下がり。
ゾロと過ごすこの時間は、あたしにとって何より愛しい時間だ。





〜end〜
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