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□Till There Was You
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『Till There Was You』


ちっとも気付かなかった。

こんなにもあんたがあたし中にいて…
何もかもを好きになっちゃってたこと。



知らなかった。

キスがこんなにも、幸せで素敵なものだったなんて…
心の奥の一番柔らかな部分をキュッと掴んだような甘い痛みは、
あたしのカラダをこんなにも熱くさせる。


あたしをこんな気分にさせてくれるのは、ゾロ、あんただけよ。


こんな気持ち、味わったことなかったわ。


あんたに会うまでは・・・・・・。




抱きしめ合ってキスをして、たくさんの幸せを貰ったあたしは

「好きよ、愛してるわ」

と言うの。

するとあんたはほんのり目の端を赤くして

「俺も・・・・・・」

と言ってくれる。


知ってるよ。
あんたは照れ屋だから、甘い言葉なんてなかなか言えないってこと。

それでもあたしが求めれば、そうやって少し頬を赤く染めながら、いつもちゃんと言ってくれるよね。

「好きだよ、愛してる」

って。


それが嬉しくって、泣きたくなる程幸せで…
あたしはギュッと抱きしめる腕に力を籠めて

「ゾロはずっと、あたしだけのものなんだからね?」

って言うの。
あたしは我が侭だから、いつだってゾロを独り占めしたい。


でもね、ゾロもギュッと腕に力を籠めて

“お前だって俺だけのもんだ”

って、その抱きしめる力で音の無い言葉を返してくれた。


ゾロも、あたしを独り占めしたいって思ってくれていたって
自惚れてもいいよね?


あたしはゾロだけのモノだから。
ゾロはあたしだけのモノだから。



そっと見つめ合って、どちらからともなくキスをして、
二人でその確かな温もりと愛を分かち合う。

あたしはゾロという幸せを、いっぱいいっぱい抱きしめる。


それだけで。
あんたの温もりを肌で感じる、それだけで。
ゾロが今、ココに居るそれだけで。
あたしはこんなにも甘くとろけてしまいそうになるの。


あんたがくれる優しいキスは、
あたしにとって、極上の甘い蜜。

他のどんな物よりも甘くて、熱くて、切なくて、
あたしは、溶けてなくなってしまいそうになるのよ?



ねぇゾロ?
あたしはあんたに出会えて、本当に幸せよ。

知らなかった感情がこんなにもたくさんあったなんて…。


一度としてこんな気持ちが生まれたことはなかったわ。


あんたに会うまでは。
あんたを、ゾロを好きになるまでは…。




〜end〜


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