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□Do you send all your love?
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『Do you send all your love?』




「…なんで夏休みにたったの1週間しか会えないの!?」

「…ゴメン。 でも、今年の夏は最後だから…」

「・・・・・・知ってる。 3年で最後だし、3連覇だってかかってるもんね。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「わかってるよ。 ゾロが今年の夏合宿がどんなに大事か。」

「…ゴメンな・・・・」

「ううん、 謝らないで!」

「でも・・・・・・」





本当はわかってる。
ゾロは何も悪くない。
まっすぐ自分の目標へ向かう、ゾロのいいところ。
あたしの大好きなところ。


でも、やっぱり夏休みに会えないなんて寂しい。
普段行けないような所へデートしに行ったり、
お互いの家でのんびり1日中一緒に過ごしたり。

長い休みだからこそ、したかった事はたくさんある。



これはただのあたしの我が侭。
長い夏休みの間に、たった10日程しか会えない。



  それがどうした?
  ゾロの夢を、目標を邪魔したいのか?



ううん、そんなはずない。



そうだ。
わかってるじゃない。
我が侭なあたしが悪いんだ。
会えないくらいで駄々をこねるなんて、とても幼稚。


  でも。


頭でわかってても、やっぱり心がついて行かないから、せめて・・・・・・

せめて、この小さな我が侭をきいて?






「・・・・・・・・・ル…。」

「…えっ・・・?」

「メール。 毎日、送ってくれる?」

「当たり前だろ?!」

「・・・たまには、電話もくれる?」

「勿論。」

「ちゃんと一言、『愛してるよ』とか甘い言葉も書いてね?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「書いてくれるよねっ?」

「…毎日は無理かもしれねェけど。 努力は、します。」

「・・・じゃあ、・・・・・・合宿から帰ってきたら、予定の許す限り逢ってくれる…?」

「ナミさえよけりゃ、毎日だって会いにいくさ。」

「ちゃんとデートだよ?」

「そん時は、一緒にシーにでも行くか。」

「・・・・・・うん。 約束、絶対だよ?」

「あぁ。 俺は約束は守る。」

「・・・・じゃあ、仕方ないから許してあげる。」

「・・・・・・・ナミ…」




そう言って、ゾロはあたしを引き寄せそっと包み込むように抱きしめた。
その温もりに何故だか泣きそうになる。




「大会、絶対見に行くから。
 あたしに会えない分、全国優勝しなきゃ承知しない。」

「あぁ。必ず取ってみせる。
 お前が見に来てくれんなら尚更、カッコイイとこ見せなきゃな。」

「そうよ。 あたしの彼氏なんだからちょっとくらいカッコイイとこなきゃね。」

「どういう意味だよ。」

「そのまんまの意味よ。」




おかしくて笑えてきた。
二人で笑い合ったら、さっきまでパンパンに膨れ上がっていた不満とか不安が、ウソみたいに萎んでいった。

きっとゾロが一番気に病んでいたんだと、何処かほっとした表情を見たら、
ゾロもきっと私と同じような気持ちだったのかもしれない。



こんなにもゾロは、あたしの事を考えていてくれたじゃない。


大丈夫。
ゾロと会えなくたって、きっと通じていられるから。



それに、これから毎日、ゾロはあたしに愛を送ってくれるから。






  ***************




合宿が始まったその日の夜。
ゾロからのメールの最後には、早速“愛”を籠めた言葉が書かれていた。



  『 all my loving to you



英語が得意なゾロらしいというか、精一杯の照れ隠しなのか、
或いは、とてもキザなのかもしれないけど。
どんな顔をしてこのメールを書いてたのかを考えただけで幸せが込み上げてきた。


おかげであたしはニヤケ顔で返信メールを書く。
ゾロにどんなツッコミを入れてやろう??






〜end〜


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