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□Calling You
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『Calling You』




「なぁ、ナミ〜。」

「ん〜?」

「なぁ〜。」

「だから、なぁに?」

「・・・ちょっとさ、こっち、向けよ。」

「ん〜待ってー。もうあと少しで書けるからさ。」

「・・・・・・・。」




ナミの部屋にやってきてからもう30分が経つ。
「日誌を書くからちょっと待ってて」と言われ、
ベッドに転がったり座ったりを繰り返し暇を持て余していたが、それにも限界が近付いてきた。
忙しいのは分かるが、30分以上放置はさすがに厳しい。
おかげで、顔すらろくに見ていないのだ。

それまで黙って大人しく待っていたが、あまりに退屈なので取り敢えず呼びかけてみた。
しかし、生返事ばかりが返ってくるのみで、振り向きもしてくれない。




まったく薄情なやつ。
お前が10時に来いっつったんじゃねぇか。




なんとなく面白くなくて、独り心の中でごちてみる間も、ナミは黙々と日誌を書き続けている。



そんなナミの後ろ姿を見つめていて、ふと思い付いた。





絶対、ここから呼ぶだけで振り向かせてやろ。





どう呼べば振り返るか、しばらく考えると、ポンと思いついた。
これで振り返らなければ、今日はもう帰ろう。










『・・・ナミ・・・・・?』










彼女の名前を、いつもベッドで耳元に囁いてやるように、
ありったけの愛と気持ちと、熱を籠めて呼んでみる。



すると、ピクリと跳ねた肩。
そして、ゆっくりと振り向くナミ。





――よしキタ!!





振り向いて目を瞠る彼女の目尻が赤いのが分かり、
俺はなんとなく嬉しくなって、思わずニッと笑った。



「ぁ、あんた! なんて声出してるのよ・・・・・・!!///」

「ん〜? なんてって、どんなだよ。」

「うぅっ・・・///」

「それよりさ、まだか?」

「・・・もう、いいわよ! 今、終わった、とこよ。」

「んじゃ、遠慮なく。」



ベッドから立ち上がり、彼女の元へ。
まだデスクの椅子に座ってこちらを見ているナミを、そのまま背後から抱きしめた。



「はぁ・・・。やっとお前がこっち向いた。」

「・・・・・・? なに? そんなに寂しかったの?」

「お前さ、自分で呼んでおいて、30分以上放置はなくねぇ?」

「あ、ゴメン。今日はあたしが呼んだんだっけ・・・。」

「うわ、酷ぇ・・・。」



ふざけて大袈裟にショックを受けたようなリアクションをとれば、
ナミはゴメンゴメンと苦笑して、後ろから抱きしめる俺の手に自分のそれを重ねた。



「・・・ねぇ、それより・・・・。」

「ん?」

「・・・チュウ、して・・・・・?」



上目遣いでそう言った彼女の頬に、キスを落とした。
もちろん、彼女がそれで満足しない事をわかっていて。
俺を暫くほっといたんだ。これくらいの意地悪ならいいだろ?



「・・・・んもう! そうじゃなくて・・・!」

「なんだよ。したじゃねぇか、チュウ。」

「ほっぺじゃなくて・・・!!」



ナミは、そのまま俺の唇を自分のしっとりとした唇で塞いだ。
触れ合わされた唇がゆっくり俺の唇を食むように動いて、チュッと音を立て離れていった。



「もっと。 ・・・・ゾロも、もっとしてよ・・・///」



まさかここまで言ってくれるとは思ってなくて、俺はニッと笑った。



「そんなにしてほしいのか?」

「・・・ゾロのせいじゃない。」

「俺の?」

「・・・あんな声で、呼ぶから…///」

「ふ〜ん。・・・そそられちゃったワケか?」



わざと意地悪くニヤリと笑って訊けば、



「・・・そそられました・・・・・・///」



と頬を染めて言うものだから、
それこそお前反則だろう?(勿論本人には言わないが。)
俺は望み通り、彼女の唇をゆっくりと、甘く深く味わうように塞いだ。




夜は、まだまだ。これからだ。













すっかり疲れて眠ってしまったナミの前髪を優しく払うと、
右の瞼にキスを落とし「オヤスミ」と小さくこぼした。
ちょっとやり過ぎたなと心の内でごちて、
心地よい疲労感に自分も枕に顔を沈めた。



しかし。
名前を呼ぶだけで、こんなにオイシイ気持ちを味わえるなら。
こんなにナミが積極的になってくれるのなら。
たまにはあんな風呼んでみるのも悪くねぇ。







〜 end 〜


+ * + * + * + *


マリモの不意打ちセクシー声に、
思わずそそられてしまったナミさんのお話…(笑)
お二人は、しっかりいつもより長く愛し合ったそうです。

うちの二人は、相変わらずバカップルですみません☆



2008.05.31(2008.12.01再録)

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