novel

□自覚
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矢張が帰ったあと、しばらく私は呆然としていた。
頭の中は、先程矢張から聞いたことで一杯だった。


―――私は成歩堂のことを……?


確かに、私は成歩堂のことは嫌いではない。むしろ好きだ。お互い信用してるし、信頼もしている。
……かけがえのない、親友だ。
親友として、好きなのだ。
しかし、矢張は私が恋愛的な意味でも好きだと言っていた。

果たしてどうなのだろう……



私は………




私は……………






成歩堂が………………









好き、だ…。




今思えば、ずっと前から惹かれていたのかもしれない。

最後まで依頼人を信じぬく心や、どんなに苦しい状況であっても決して諦めない強い心、純粋で希望に満ちている黒い瞳――…


私は―――



彼の、全てが――…



好きなのだ。



「何故もっと早く気がつかなかったのだろう…」


自分の気持ちが分かった以上、成歩堂に言うしかないだろう――キミは、何て返してくれるだろうか…。
いや、キミの答えよりも、私の想いをしっかり伝えよう、キミの答えを聞くのは、それからだ。

――いや、ひょっとすると成歩堂は、返事をくれないかもしれん。

それでも、いいのだ。
私の気持ちが伝われば――それで…。


久しぶりに、気分が少し楽になったような気がした。



end.
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