novel
□苦悩
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大体、真宵ちゃんにそんなこと言えるわけないじゃないか!御剣は親友で、同性だ。真宵ちゃんにどんな目で見られるか…想像するのも嫌だ。そもそもボクは女の子が好きなんだ!御剣だなんてそんな…!あぁもう考えてるだけで頭がおかしくなるよ…。
御剣は親友としてはもちろん、好きだ。お互い何度も助け合ったし、かけがえのない存在だ。でも……
「――ほどくん!」
何だよ…今考え事してるのに…
「――るほどくん!」
うるさいなぁ……
「ねぇ、なるほどくんってば!!」
――バシッ!!
真宵ちゃんが、手に持っている仕事の資料でいきなりボクの頭を強く叩いた。
「痛ェェェ!な、な、何するんだよ!」
「もう!さっきから呼んでるのに、なるほどくんってば全然聞いてないんだから!」
「な、何だよ…?」
「携帯!鳴ってるでしょ!?」
―――あ。確かに、携帯のランプがトノサマンのメロディに合わせてチカチカ光っていた。
どうやらボクは携帯の着信音すら耳に届いていなかったようだ。
やれやれ…ここまでくると末期だな。自分に苦笑しつつ、着信中の携帯の画面を見る。
画面を見て、心臓が飛び上がるかと思った。
『御剣 怜侍』
「ッ!?」
思わず、ボクは携帯を落としそうになった。
「なるほどくん、どうしたの?」
「な、ななな、なんでもない、よ…」
「…嘘だ。ね、ちょっと携帯見せてよ!」
「えっ、い、嫌だよ!か、返してよ真宵ちゃん!」
脱力したボクは真宵ちゃんに敵うハズもなく、あっけなく携帯を取られてしまった。
「――あ、やっぱりみつるぎ検事だ!」
あぁ…なんだかすごく嫌な予感がする。
「これ早く取らないと。みつるぎ検事を待たせるのは悪いでしょ?」
そういう真宵ちゃんの顔はふてぶてしく笑っていた。ボクはアイツからの電話なんて取るつもりはないぞ…今度は何を言われるかわかったもんじゃない!
「あの…取らないで…お願いだから……」
ボクの反論は虚しく、真宵ちゃんが電話を取ってしまった。