短編とか
□とあるカメラマンのネガフィルム
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「ところで、みなさんは私に何か用ですか?」
「いや…えっとね。」
「“あの”瀬尾が双子だと聞いて。」
「の、野崎君!」
「なるほど。それで『瀬尾(姉)が置いてきた優しい心を持って生まれた』と歴代の先生に言われてきたこの私に会いに来たのですか。」
「瀬尾ってそこまでなのか…。」
「そういえば、野崎はナナシの世話になってんだぜ?」
「ん?どういうことですか堀先輩?」
「それは、君の背景資料は私が撮ったやつだからだよ、ゆめの先生。」
「な、なんだと……。」
「よぉ、野崎ー。来たぜーぇええええ?!せせせせ瀬尾!?」
「どうも、善良な方のせおです。」
「ななななんでここに!?」
「とっても忙しい背景担当の方の代わりに、背景やりにきました。」
「のののの野崎は?!」
「ちよちゃんと画材を買いにでーとに行きました。」
「ででででーと?!」
「とりあえず座りませんか、みこしばくん。」
「ななななんで!?」
「結構有名ですよ、G組のイケメンのみこしばくん?」
「かかかっこいい!?」
(御子柴、セリフがなんかタイプミスみたいになってるな。)
(野崎くん、メタ発言はご法度だよ。)
「せんぱーい!瀬尾先輩!おはようございます!今日は遅刻じゃないんですね!」
「えっと、君は?」
「せせせ瀬尾先輩がとうとう壊れちゃった!!」
野崎せんぱあああい
「いや、私は瀬尾だけど妹の瀬尾…行っちゃった。」
「先輩。」
「……のざきか。」
「柔道。」
「もう引退した、やらねぇよ。」
「……。」
「いやいや、そんな目で見られても。やらんからな。」
「理由。」
「実は最後の試合で首を痛めてんだ。無理はするなと医者に言われてるし、実際動かん。」
「……じゃあ、連絡先ください。」
「えっ、あぁ、い、いいけど。」
「また、連絡します。」
「う、うん。また。」
「中学の時は柔道部でキャプテン的な存在でしたよ。交流試合では、たまにのざきとやりましたし。」
「先輩、強い。」
「な訳ねーだろ。トリッキーな技使うから嫌われてたわ。」
「先輩、口調。」
「……高校からは大人しくしようと決めたんです。私は口が悪いだけで、ルールは守ってましたよ。」
「女子。」
「後輩のこと?懐かれてただけだっつーの。ちょっとメールのハートの量が多かったのは確かだけどさ。」