短編とか
□とあるカメラマンのネガフィルム
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「大変だ!」
「ど、どうしたの?野崎くん!」
「せ、瀬尾が・・・!」
「瀬尾が、すごく・・・大人しかった。」
「「な、なんだってー!!!」」
「今日、朝にたまたま瀬尾と会ったんだが・・・。」
―よ、よぉ、瀬尾・・・。
―・・?おはよう、野崎。
―お、おはよう。
「な?」
「確かに・・・結月だったら、『よぉ、野崎!冴えない顔してんじゃねーか!あ、何時もか!』ぐらい言うもんね・・。」
「佐倉・・・俺、何かしたか・・?」
「あ、そういえば俺も見たかもしれない、大人しい瀬尾。」
―瀬尾、これ運んでおいてくれ。
―これも頼む。
―えぇー。そんなぁ。
「誰だ!?そいつ!!」
「そうだね!結月なら『やーだよ、めんどくせぇ!ジジイ共こき使ってんじゃねーよ!』とかいうもんね。」
「佐倉・・・実は瀬尾のこと嫌いなのか?」
「つーか、それ、瀬尾妹の方じゃね?双子の。」
「な!瀬尾に妹!?」
「しかも双子!?」
―「「よぉ、おめーら今日もだっせぇ恰好してんな?」」
―「「バスケは退場するまで全力だぜ!!」」
―「「ひゃははっはははは!!」」
「「最悪だ・・。」」
「いや、性格は全く違うぞ。」
「え、そうなんですか?」
「写真部でな、よく演劇部の写真を撮りに来るぞ。」
あいつもなかなか面白い奴でさ…。
あ、そういえば明日、ちょうど撮影しに来るから見に来ればどうだ?
「という訳で、演劇部にお邪魔しているわけだが。」
「まだ来てないみたいだね。」
「つーか、本当にいるのか。瀬尾妹。」
「ここにいますけど?」
「「「うわぁぁあ!!!出たぁああ!!」」」
「ちょいと。私は亡霊かなにかですか。」
「おーい、お前たち、写真部来たぞー。集合!」
「じゃあ、衣装に着替えた人から並んでいただけますでしょーか。」
「ほえー、本当だったね・・。」
「佐倉は瀬尾から双子の話は聞いていなかったのか?」
「いや、実は今日のお昼に聞いてみたんだけど・・。」
―え?妹?いるよ?言ってなかったっけー?
見た目チョー似てるんだけどさ、中身全く違うっていうか?
ドンくさいし、のろのろしてるし。あ、ジジイみたいな感じ?
でも菓子作りはスゲーうまいわ。あと、弁当作ってるのもナナシだし。
あ、ちなみにH組。
「つまり、聞いたことがなかったのか・・。」
「うん・・。」
「確かに見た目、すげぇ似てるな。」
「ほんじゃ、次イメージ写真撮りますんで。役柄っぽいポーズしてくれますか。」
「こんな感じですか?」
「いや・・もっとこう・・。」
グイッ
「えっ!」
「貴女は目が綺麗ですね。」
「は、はい!?」
「髪もよく手入れされていて美しい。その衣装も、より貴女を綺麗に見せる。」
「あわわ・・。」
「その困った様な眉も、潤んだ瞳も、その小さな唇も魅力的だ。・・どうか、私だけを見ていてほしい。」
「は、はぃぃぃ。」
「はいそれ。」
パシャリ
「はいどうも。お疲れ様です。いい写真が取れました。」
「は、はぃ…あ、ありがとうございますぅ…。」
「な?瀬尾妹やべぇだろ。」
「これはネタになりそうだ。」
「すごい!野崎くんのペン捌きが早すぎて見えないよ!」