短編とか

□とある船員の創作記録
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2.『お子様と能力知った少年と』
シャチ視点



「今日から船に加わることになった、ナナシだ。」

「初めまして、これからよろしくおねがいします!」



ある日。
日が沈む頃、キャプテンが帰ってきたと思ったら小さな餓鬼を連れてきた。
目は青色、髪は金髪で二つに三つ編みにしている餓鬼は、珍しそうにキョロキョロと周りを見渡している。
俺たちもキャプテンの連れてきた餓鬼を見ながらざわざわと話していると、ペンギンがキャプテンに静かに告げた。


「キャプテン、誘拐は犯罪だろ。」

「海賊が何言ってんだ、それと誘拐じゃない。」

「私が入れてくださいって頼みました!」


そりゃまた物好きな餓鬼もいたもんだ。
ペンギンもどうやら考え込んでしまったみたいだ。
仕方ないので俺も気になってはいたので、質問をしてみる。


「キャプテン、なんでこんな餓鬼連れてきたんですか。」

「興味だ。」

「・・・それだけっすか?」

「あぁ。」


あまりにも単純な答えに呆れて反論もできなかった。
そして、その日はそのまま解散となってしまった。
次の日、改めて自己紹介となるはずだった・・。


朝、この辺を荒らしている海賊が俺たちがいると聞きつけて港に現れた。
別にこの島じゃ、悪いことはしてなかったんだけどな。



「トラファルガー・ロー!ハートの海賊団覚悟!!」

「だってよ、キャプテン?」

「眠い、腹が減った、だるい。」

「皆、コックが朝食作り終えるまでに終わらせないとキャプテンがキレるぞー!」



その叫び声を筆頭に、俺たちとその海賊たちは戦闘を開始した。
ちなみに俺もコックだが、今日の朝の担当ではなかったりする。
俺も後に続いて雑魚を蹴散らす。
ふと、船の方を見ると昨日の餓鬼が敵と向かい合っていた。
じりじりと追い詰められている餓鬼を見て、俺は慌てて船の方へ走った。



「近づかないで!」

「てめーもここのクルーなら容赦しねぇぞ。」



餓鬼は敵の一人の落とした刀を拾って、敵に向けていた。
敵が近づいた瞬間、わあと我武者羅に刀を振り回しその敵の腕に切り傷ができた。
敵はそれにキレて、餓鬼に銃を向けた。
ちっ、撃たれる!!



「だから!近づかないでってば!」

「な・・なんだ、これは!」


餓鬼は銃を掴んだかと思うと、ぐにゃりと柔らかくして敵の腕に巻きつけた。
そして横にあった樽を粘土のように丸めると敵に向けて投げつけた。



「樽粘土ボンバー!」

「ぎゃああああ!!」

「ふぅ・・作品名『タルに飲まれた男』・・ってね!」


敵は粘土に包まれて動けなくなってしまった。
俺がその敵を包んでいる粘土に触れてみると、柔らかくなく、既に木の材質に戻ってしまったようだ。
どうやら、こいつもキャプテンと同じ、能力者らしい。
キャプテンが興味をもったのは能力者だったからなのか。

キャプテンがロリコンに目覚めたのかと思ってしまっていたが、そんなことはなくて安心した。
うんうんと頷いていると笑顔のキャプテンに呼ばれたので近づいたら、危うくバラバラにされるところだった。
・・・なんで、俺の考えていることが分かったんだろう。
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