短編集

□夏だ! 弾けろ!
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「っしゃあー! 泳ぐぞー!」


 マリオが海に飛び込む。
近くに居たルイージにしぶきがかかる。


「もう、兄さん! ゆっくり入りなよ!」


「ワッハー、ルイージも豪快に入れ!」


「え、ちょ、がっ……!」


 ワリオがラリアットの要領でルイージを海に連れ込む。
突然海中に連れ込まれた為、ルイージの口に大量の海水がなだれ込んだ。


 今、スマブラメンバーは海に来ていた。
マスターが夏と言うことで海に連れてきたのだ。
因みに浜辺は貸し切り、もといマスターが地下に創り出した。
太陽も完備してある。


「あぢぃ……、なんだよこの暑さ……」


「仕方ないよ、本物並みの太陽だからね」


 マルスとロイは海の家でかき氷を食べていた。
ロイはあまりの暑さにばてていた。
そんな彼をマルスは苦笑いで見ていた。


「あ、こんな所に居たんですね」


「やあ、リンク」


「今、バーベキューの準備をしてるんです。手伝ってくれませんか?」


「いいよ、手伝うよ」


「僕はパス……まだここに居るよ……」


 リンクは了承し、マルスと共に外へ行った。
1人残ったロイは、かき氷を一気に食べると、頭の痛さに涙目になりながらクーラーボックスに手を伸ばした。


「……寂しくないからな」





「こっちだよ、ピカチュウ!」


「待てぇー!」


 ピカチュウがリュカを追いかける。
子供達は海で遊んでいるようである。


「プリンも負けないでしゅ!」


「おーい、子供達ー!」


 浜辺からマスターの声が聞こえる。
彼の周りには大量のスイカがあった。
カービィとヨッシーが目を輝かせる。
無論、みんなも嬉しそうだ。


「スイカだぁー!」


 カービィが真っ先に海から飛びあがる。
続いてヨッシー、その他大勢。


「なんかむかつく……」


 ネスが愚痴を言った気がするが無視をしよう。


 暴走寸前のカービィとヨッシーをマスターがなだめる。
こんな所でスイカを無駄にしたくないのだろう。


「まぁまぁ落ち着け。今からスイカ割りをするぞ」


「えー、なんでわざわざ割るのぉ?」


 カービィが露骨に嫌な顔をした。


 こいつはスイカ割も知らんのか、面倒臭い……。


 灼熱の太陽に照りつけられ、マスターの思考回路は更に苛つき始めた。
しかし、なんとかそれを押さえつけると、カービィ達にスイカ割の説明をし始めた。


「――と言うわけだが」


「スイカ食べれるなら良いよ!」


 全員が納得した所で、スイカ割が始まった。
駄々をこねていたのはカービィだけだったが。


 四方八方に散りばめられたスイカ達、それに取り囲まれる形でアイクが砂浜に立っていた。
用意されたアイマスクをかけ、アイクは高々とラグネルを振り上げた。


「……あいつ、何するつもりだ?」


「え……まさか……」


 マルスの顔が引きつる。
ロイもようやく気付いたらしい。
ラグネルが炎を纏っている事に。


「噴ッ火ッ!」


 ラグネルが地面に突き刺さる。
そして爆音と共に砂浜は大爆発した。


 ここは海、いくらマスターが創り出したとは言え、現実世界に変わりない。
技の威力は大乱闘時のそれとは段違いである。


 当然、そんな爆風を受けた100個あまりのスイカはこっぱ微塵に吹き飛んだ。
赤い汁、黒い種、緑の皮、砂。
様々な物が数100メートル先にいたメンバーに襲いかかる。


 あ、テント飛んでった。


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