novel

□シロツメクサ
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「そろそろ起きろよ2人とも」

布団が剥がされて中にいた幼い兄妹は2人して縮こまる。
次いでカーテンが開かれ容赦ない朝日が2人を問答無用で覚醒させた。

「朝飯できてるぞ。お前らの大好きな甘い卵焼きだ。いらねぇなら俺が全部食っちまうぜ」
「「やだ」」
「なら起きた起きた」

最初にむくりと体を起こしたのは黒髪の兄。目を擦りながら桃色の髪の妹が起き上がるのを助けてやる。
そして2人で起こしてくれた大好きな兄を見た。

「おはよう、ニール」
「おはよう…」
「おはようさん。刹那、フェルト」

快活に笑った兄・ニールは弟妹の小さな頭をくしゃりと撫でてやった。
早く顔を洗って着替えてくるようにと言いつけて彼はキッチンに戻る。
もそもそと動き出した2人は洗面所に向かい、とれみぃと書かれた専用の足場を引っ張り出して乗り、広い洗面台で一緒に顔を洗う。
兄の趣味で作ったペットロボのハロが用意したタオルを使い顔を拭いて部屋に戻り着替えた。
兄の待つダイニングテーブルの椅子によじ登り座ると、朝食が並べられる。
2人は隣に、向かいには兄がいた。
いただきますと3人声を合わせ、ゆるりとした朝食の時間が始まる。

この家には基本的にこの3人が住んでいる。
世界をまたにかけて仕事をし滅多に帰らない母親。
彼女に拾われた刹那とフェルト。そして彼女の甥であり養子のニール。
刹那とフェルトはまだ小学校に入ったばかりで、ニールもまだ高校生になったばかりだ。
だがニールはずっと幼い弟妹の世話を甲斐甲斐しく焼き、弟妹も兄に心からなついていた。
3人の血は繋がっていない。だが、確かにかけがえのない家族だ。

「ごちそうさま」

ぴったりのタイミングで食べ終わった刹那とフェルトは、一人が使い終わった皿を重ね集めて、もう一人が椅子から降りてそれを受け取りシンクに置く。
まだ椅子に座ると足が床に届かない2人はそうやって兄の手伝いをする。
朝食を終えた後、ニールは刹那とフェルトの髪を整えてやる。どちらか一方は空いてるうちに歯磨きをし、教科書をランドセルに入れる。
2人の準備が万端になった頃、家を出る時間になるのだ。

「刹那、帽子忘れてるぞ」

黒いランドセルを背負った刹那にニールは黄色の帽子を被せてやる。
赤いランドセルを背負ったフェルトの頭にも同じ黄色の帽子がある。

「ハンカチは?」
「「もった」」
「ティッシュ」
「「もった」」
「今日の帰りは?」
「「ミレイナのおうち」」
「よくできました。寄り道するなよ?」
「わかってる」

ニールは2人の頬にいってらっしゃいのキスを送る。
2人もニールの頬に返して笑った。

「いってらっしゃい」
「いってきます」

刹那とフェルトは手を繋いで小学校へと向かう。
それを見えなくなるまで見送ったニールは自分の身支度を整えるために家へと戻っていった。


穏やかな日常。
だがこれこそが至福の時間なのだと、3人の子どもたちは思う。

大好きな家族がいることが幸せ。





ニル刹フェル幸せ家族パロ。ニール高1で刹那とフェルトは小2くらい。お母さんはスメラギさん。
 

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